師匠シリーズ第八十九話『連想I』
[音楽] ハウンド師匠から聞いた話 だ2年くらい前だったか なある休暇のお嬢さんからの依頼でその家 に行ったことがあって なオイルランプが照らす暗闇の中かな子 さんがさくように口を動かす その家はかなり大きな敷地の真ん中に本 VANがあってそこで家族5人と住み込み の家政府1人の計6人が暮らしてたん だ家族高生はまず依頼人のまなさん彼女は 26歳で家事手伝いをしてい たそれから妹の高子さんは大学生あと お父さんとお母さんそれに80過ぎのお ばあちゃんがいた敷地内には結構大きな 離れもあったんだけど昔よりも家族が減っ たせいで物置きとしてしか使っていない らしかっ たその一体の地主の一族でね一家の大黒柱 のお父さんは今や普通の勤め人だったし 先祖伝来の土地だけは売るほどあるけど 生活自体はそれほど裕福というわけでも なかったみたい だその敷地の隅は駐車場になってて車が4 台も置けるスペースがあった今はそんなさ だけど戦前にはその一角にも屋敷の一部が 伸びてい た暗がねあったん だランプの明りが一瞬ゆらりと身をくねら せる大学2回戦の夏だったその日僕は オカルト道の師匠であるかな子さんの秘密 基地に招かれてい た郊外の小さな川に面した寂しげな場所に 歌ガレージがいくつもつっておりその中の 1つが師匠の借りているガレージすなわち 秘密基地だっ たそこには彼女のボロアパートの一室には 置けないようなかさばるものから別の おどろおどろしい理由で置けない 忌まわしいものなど様々な収集品がとろ せまと並べられてい たその量たるや想像以上でただの一学生が 集めたとは思えないほどだった 更新所のバイトでそこそこ稼いでいるはず なのにいつも食べるものにも困っているの は明らかにこのコレクションのためだっ た扉の鍵を開けてガレージの中に入る時 師匠は僕にこう言っ たお前最近お守りをつけて たろ はい胸に手を やるすると師匠は手のひを広げて出せと 命じたうどうして ですそんな生半なものつけてると逆効果 だ死ぬ
ぞ真顔でそんなことを言うのだタが賃貸 ガレージの中に入るだけなの に僕は息を飲んでお守りを首から外し た普通にし てろそう言って扉の奥へ消えていく師匠の 背中を追っ た 分の中に全身を沈めたようなそんな感覚が 一瞬だけあり息が止まっ たやがてその粘度の高い空間は様々に 折り重なった濃密な気配によって形作られ ていると 気づく見られているそう直感 する真夜中の一時を回った頃だっ たガレージの中には僕と師匠以外誰もい ないそれでもその暗闇の中に無数の視線が 交差して いる例えば師匠の取り出した古いオイル ランプの明りに浮かび上がる大きな柱時計 の中 から綺麗な刺繍を施された1つの袋を描い ただけの絵からあるいは両目をくり抜かれ たグロテスクな骨格標本から もまあ 座れガレージの中央にわずかに開いた スペースにソファーが置かれて いる師匠はそこを指差し自身はそのすぐ そばにあった真っ黒な西洋風の破壊石の上 に片膝を立てて腰かけ た破壊石の表面には人の名前らしき横文字 が全体を追いつくさんばかりにびっしりと 掘り込まれて いるどれもこれもたごではなかったこの ガレージの中のものは 全てドロドロとした気配が年の気流となっ て僕らの周囲を回って いる師匠がこの中から世にも恐ろしい言れ を持つ古い仮面を出してきたのはつい先日 のことだっ たあんな怖すぎるものが他にもたくさん あるのだろう か恐る恐るそう聞いてみると師匠はそう いや言ってなかったなと呟いて背後に腕を 伸ばし1つの木箱を引っ張り出し た見覚えが あるその古い仮面を納めていた箱だ もうあんな恐ろしいものを見たくなかった 僕はとっさに身構え たしかし師匠は妙に嬉しそうに木箱の封印 を解きその中身をランプの明りに かざす見ろよその言葉に僕の目は釘付けに なる箱の中の仮面はその鼻の辺りを中心に 粉々に砕かれてい たすごい だろなぜ嬉しそうなのかわから
ないシレになってないです よようやくそう口にするとそうだなと言っ てまた木箱の蓋を 戻す師匠自身が高級に祟り神すぎると表し たものが壊れたいや次回するはずもない 壊されたのだ鍵のかかったガレージの中 で一体何が起こったのか分からないがたご ではないはずだっ たこれと相打ちいやひょっとして一方的に 破壊するような何かがこの町にい るってことだ怖い ね師匠はそう言って笑ったそして箱を戻す と気を取り直したようにさあ何か楽しい話 でもしようと楽しげに 笑うそれからいくつかの体験談を語り始め たのだもちろん階段じみた話ばかり だ最初の話は更新所のバイトで引き受けた ある旧家の倉にまつわる奇妙な出来事に ついてだっ たかつて本たとその脇に立つ大きな土蔵と の間には2つの通路があっ た1つは本たの玄関横から土蔵の扉までの 間の6件ほどの 石畳そしてもう1つは本宅の地下から土蔵 の地下へと伸びる同じ距離の狭く暗 かなぜ2つの道を作る必要があったのかは 昭和に暦が変わった時点ですでに分から なくなってい たただかつて土蔵の地下には座敷炉があり そこへ至る手段は本宅の地下にあった当主 の部屋の秘密の扉だけだったとそんな噂が 一族の間には囁かれてい たあがち嘘じゃないと思うが なまなの父はよくそんなことを言って1人 で頷いてい たあそこにはなんだかな雰囲気がある よ家族の中で土蔵の地下へ平気で足を 踏み入れるのは祖父だけだっ たかつて当初の部屋があったという本たの 地下も今や滅多に使うことのないもの ばかりを押し込めた物置きになっており その埃をかぶったかに覆い隠されるように 土蔵の地下へと続く通路がひっそりと暗い 口を開けてい たそこを通り抜けると最後は鉄線のモンピ が待っていて錆びてひどい音を立てるそれ を押しあけると再び様々なものがとせまと 積み重ねられた空間に 至る座敷炉があったとされるその場所も今 では物置きとして使われてい たただ本沢の地下と違い本来倉に収め られるべき古い家電の骨董品などが置かれ ていたの だ土蔵の地上部分は戦中の家により 焼け落ち再建もせずにそのまさにして
しまってい た元々構造が違ったためか地下は炎の彩花 を免れそして地上部分に保管されていた ものをすでにその時使われていなかった その地下に移し替えたのだっ た1階部分が失われ駐車場にするため舗装 で塗り固められてしまったがためにその 地下の土蔵に出入りするには本沢の地下 から6軒の狭い通路を通る以外に道は なかっ たまなの祖父はその地下の土蔵を好みいつ も1人でそこにこもっては食材の明りを 頼りに古い書物を呼んだり書き物をしたり してい たまなはその土蔵が怖かった父の言う異様 な雰囲気は確かに感じられたし土蔵へ至る までの暗く狭い通路も嫌でたまらなかっ た距離にしてわずか10mほどのはずだっ たが時にそれが長く感じることがあった 途中で通路が2回稲妻のように折れており 先が見通せない構造になっているのが余計 に不安をかき立て た本たから向かうとまず右に折れすぐに左 に折れるはずだっ たしかし一族の歴史の安部に折り重なるす や誇りが充満したその通路はまなの幼心に 幻想のような記憶を植えつけてい た右に折れ左に 次にまた右に 折れるないはずの角が1つどこからとも なく現れてい た怖くなって引き返そうとしたら 行き止まりから右へ通路は曲がってい たさっき右に折れたばかりなのに戻ろうと すると逆向きになっているの だその時どうやって外へ出たのかなぜか 覚えてはいなかっ たそればかりではない たった10mの通路を通り抜けるのに10 分以上の時間が経っていたこともあっ た幼い頃の記憶とはいえそんなことは1度 や2度ではなかっ たそんな恐ろしい道を潜ってなぜ土蔵へ 向かうの かそれは祖父がそこにいたから だまなはその変わり者の祖父が好きで地下 の土蔵で読書をしているのを邪魔してはお 話をせがんだりお菓子をだりし た祖父も嫌な顔を1つせずむしろ総合を 崩して幼いまの相手をしてくれ たその祖父はまなが小学5年生の時に死ん だ胃がんだっ た死ぬマギはもはやモヒも聞かない頭痛の 中祖父が上ことのように願ったのは自分の 骨をあの地下の土蔵に収めてくれという
ものだっ た祖父が死に残された親族で相談した結果 祖父の体はダビにふした後先祖代々の墓に 入っ たただその骨の人かけらを小さな壺に収め て土蔵の奥にひっそりとしまったのだっ たそれ以来土蔵の地下はよほどのことが ない限り家族の誰1人として足を踏み入れ ないしる空間となっ た先祖代々伝わる書物や骨董品の類はそれ ら全てが祖父の死の服装品となったかの ようにクラクラの中で眠って いる 分母そんな言葉が思い浮かぶ場所だっ た祖父の市から15年が経ったその日まな は半年ぶりにその地下の土蔵へ足を運ぶ はめになってい た叔父が電話でどうしてもと頼むので 仕方なく だどうやら何かのテレビ番組で江戸時代の あるの作ったチボが高値で落札されている のを見た らしいそのチボとそっくりなものを昔その 土蔵で見たことがある気がするというの だ今は県外に住んでいる叔父はお金にいじ 汚いところがありまなみは好きではなかっ たのだがとにかくその茶つぼがもし大下の 作ったものだったとしたら親族会議もだ からとりあえず探してくれと一方的に のたまっ た会議も何も家を出た叔父に何の権利が あるのかと生きとったが父に言うとどうせ そんなすごい壺なんてないよあいつも 勘違いだと分かったら気が済むだろと笑う のだそれでまなみは土蔵へチボを探しに 行かされることになったのだっ た本VANの地下におり黄色い伝統に 照らされた畳敷きの部屋を通ってその奥に ある小さな出入り口に体を滑り込ませる そこから通常の半分程度の長さの階段が さらに地下へ伸びており降りた先に土蔵へ と伸びる通路があっ た吸えたような空気の流れが美空にかかに 感じ られる手探りで伝統のスイッチを 探す指先に触ったものを押し込むとじと いう音ととに白熱灯の光が天井からのりと 広がっ た壁を食いで固められ薄暗い通路は何か ひんやりとしたものが足元から登ってくる ようで薄味悪かっ たかつてはランプや手食を明かりにして ここを通ったそうだが今では安全のために 電気を通して いるだが湿気がいけないのか白熱刀の玉が
よく切れ たそのたびに父や自分が懐中電灯を手に 薄味悪い思いをしながら玉の交換をした ものだった 今もまなの頭上で白熱刀のフィラメントが 瞬きをして いる嫌だまただわ戻ったら父に直して もらうように言わなけれ ば今の家政府の千子さんはどうしてもこの 地下の通路には入りたくないと言って はからなかっ た私昔から霊感が強い立ちでしてあそこ だけはなんだかぞっとしますの よそう言って身震いしてみせるの だおかげでこの通路とその先の土蔵の最低 限の掃除は家族が交代でやることになって い た頼りなくまたいている明りの下最初の 曲がり角を超えると土蔵の入り口が見え たそろそろと歩みより小さな鉄正の扉を 手前に [音楽] 引く耳障りな音がして同時に真っ暗な扉の 奥からどこか生ぬるいような空気が漏れ出 て くる扉は狭くそれほど大柄でもないまなみ でも身をかめないと入ることができ ないまなは体を半分だけ扉の中に入れ腕を 回り込ませて壁際を 探る白熱刀の光が暗かった土蔵の中に 広がっ たほっと人心地が つくもはやそれを手に取るアのいない骨董 品やコミ具の類いが地方の壁に並べられた 棚やタスの上にひっそりと置かれて いる本当に値打ちのあるものは終戦の前後 に処分したと聞いているので今残っている のはそれを代々受け継いできた自分たちの 一族にしか価値のないもののはずだっ たまなは懐から写真を 取り出すご丁寧にも叔父が段のチボが紹介 された雑誌の切り抜きを送ってきたのだっ た それと見比べながら壺などが並べられて いる一角を往復しているとどうやらこの ことらしいというものを見つけることが でき たなるほど形や色合いは確かに似て いるしかし手に取ってみるとやけに軽く まじまじと表面を眺めると雑もやすっぽく 思われ たやはり叔父の思い違いだそう思うと少し 楽しくなった チボを片手に唯一の出入り口へ 向かう狭い扉をなんとかくぐると一瞬心の
中が冷えた気がし た通路の白熱塔が切れて いる失くに囲まれた道の先が闇に飲まれる ように見通せなくなって いる消そうとした土蔵の中の明かりはつけ たままにしたがそれでも小さな扉から漏れ てくる光はあまりにかかった 嫌 だここが地の底なのだということを 思い出してしまっ たこんな時のために土蔵の中に懐中電灯を 置いてなかっただろう か振り返って探しに戻ろうかと思ったが 面倒な気がしてやめ た高々10m程度の通路だ障害物もない 一本道だし自分ももう子供ではないのだ から何をそんなに怖がることがあるだろう 我知らず自分にそう言い聞かせまなはチボ を胸に抱えて進み始め た静か だ耳の奥に静寂がかん高い音を立てて いるほんの数メトル歩くと曲がり角があっ たそこを右に曲がると今度はすぐに左へ 折れるそこから先は直進するだけで元の 入り口 だけれどそ覗いたその先は光の届かない 真っ暗闇だっ たぞくりと肌が 泡立つ口元がばりそうになるのを必死で 押えなるべく自然な包丁で前へ進ん だ左手を壁に沿わせながらまっすぐ になんてことはないなんてことは ない暗くったって大丈夫 ほらすぐに元の入り口 だ ドシ えぶつかった誰か に 嘘全身に寒気が走っ た暗くて何も見え ないそこに誰がいるのかもわから ない配だけが通りすぎて いく土蔵の方へ向かっているようだ まなはその場に根を張りそうだった足を したして小走に入り口の階段の下まで進ん だそこまで来ると頭上からカカな明りが 漏れてきてい たチボを抱えたまま階段を登りようやく物 部屋まで戻ってき たここもまだ地下なのだと思うと後ろも 振り返らずに部屋を横断して1回上がる 階段を駆っ た 階段を上がった先にある今では父と母が テーブルを囲んでお茶を飲んでいたああっ
たかお宝がこちらを見ながら呑気そうに父 がそう言っ たねここ今誰か降りてっ たまなが早口にそう聞くと父と母は減そう な顔をしてかぶりを振っ たこは続けて聞こうとしたが隣の部屋から テレビの音とともにその妹の笑い声が 聞こえてき たお感が する火星府のちず子さんは今日は来ない日 だそして祖母は風を引いて昨日から入院中 だっ たいつものことで大した風ではないのだ がではさっき地下の通路でぶつかったのは 誰なの かちょっと気持ち悪いこと言わないで よ母が頬を引きつらせながら無理に笑っ た泥棒 か父が景色板で椅子から立ち上がろうとし たが母が困ったように半笑いをしながら それを 痛めるちょっとお父さんも私たちずっと ここにいたじゃ ないそうして地下の物置きへ降りる階段を [音楽] 指さすそうだ物置きには他に出入り口は ない父と母がずっといたこの今から しかその2人が見ていないのだ誰も降り られたはずは ないではさっき暗闇の中でぶつかったのは 誰なの だ謝って壁にぶつかったのでは ない壁にはしっかりと左手をついて歩いて いたのだ から震えてしゃがみ込んだまの背中を母が さすり父は騒ぎを聞きつけて今にやってき た子と2人で中電灯を手に地下に降りて 行っ た結局こ1時間ほど地下の物置きと通路 そしてその先の土蔵をしらみつぶしに探索 したが異変は何も見つからなかっ た家族以外の誰かがいたような痕跡 も最後に地下通路の白熱刀の玉を交換して きた父が疲れたような表情で今に戻って くると家族4人がテーブルに顔を 突き合わせて座った そして沈黙に耐えられなくなったように妹 のたか子が口を開い た実は私もぶつかったこと ある驚いたさっき起きたことと全く同じ ような出来事が2年ほど前にあったという の だ妹の場合は何の前ぶれもなく地下の明り が消え手探りで通路を引き返そうとしたら 得体の知れない何かに肩が触れたのだと
さらに驚いたことにそれから父と母も 気持ちが悪そうにしながらそれぞれ似た 体験をした話を続けた数年前の話 だみんな気のせいだと思い込むようにして いたのだったそんなことがあるわけはない としかしこうして家族が誰も同じ体験をし ていると知った今ただの気のせいで住む はずはなかっ たお払いしてもらった方がいい かしら母がおずおずとそ切り出すと父が何 をバカなと怒りかけしかしその勢いも あっさりとしぼん だみんな自分の身に起きた体験を思い出し 背筋を冷たくさせてい たそんな中妹のたか子がぽつりと言っ たおじいちゃんじゃないか な えいやだからあそこにいたのおじいちゃん じゃないか な地下の暗闇の中でぶつかったのは15年 前に死んだ祖父ではないかというの だその言葉を聞いた瞬間父と母の顔が 明るくなったそのくせ口調はしんみりとし ながらそうねおじいちゃんかもしれないわ ねそうか親父かもしれないな親父は土蔵の 主だったからな と頷き合って いる確かに祖父はあの土蔵が第2の家だと 言っても過言ではないほどそこへ入り浸っ ていたし死んだ後は自分の骨もそこへ葬っ てくれと願ったの だそして実際に遺骨の一部は小さなコツに 収められて土蔵の隅に眠って いるおじいちゃん かまなもそう呟いて みるだらけの懐かしい顔がに浮かん だそしてソフトの思い出の断片がさらさら と自然に蘇ってくるおじ ちゃ高子が涙ぐみながら笑っ た幽霊を恐ろしいと思う気持ちより 優しかった祖父の魂が今もそこにいるのだ と思う柔らかな気持ちの方がまさっていた のだっ たさっきまでの凍りついたような空気が ほんのりと暖かくなった気がした しかし即の思い出を語り始めた父と母と妹 を知りにまなは自分の中に蘇った奇妙な 記憶に意識をとらわれてい たあれはまながまだ小学校に上がった ばかりの 頃いつものように祖に本を読んでもらおう とあの薄暗い地下の道を通って土蔵へやっ てきた時のこと だに向かってのようなものをに読んでいた 祖父がまなみに気づいて顔を分け
たそして手招きをして可愛い孫を膝の上に 座らせあすように体をゆりながらぽつりと 言っ た誰かにぶつからなかったか い幼いまなは祖父の顔を見上げそこに 不可解な表情を見 た頬は緩んで笑っているのに目は凍りつい たように見開かれて いるぶつかるって誰にまなはコゴとそう 聞き返し た祖父は孫を見下ろしながら薄氷を吐く ようにそっとさい た誰だかわからない誰かにだ よオイルランプの明りに照らされかな子 さんの顔が闇の中に浮かんで いる黒い破壊の上に腰かけたまま足を ブラブラと前後に揺らし ながらそれでさんは我が小川調査事務所に 依頼したわけだ人づてにお化けの専門家が いるって聞いてどんな依頼なん です調査に決まってるだろうその誰だか 分からない誰かが誰なのかってことを だかな子さんは背後の木箱の中から黒い 厚手の布を取り出しランプの上にかせ たその瞬間辺りが完全な暗闇に覆われる 締め切られたガレージの中は夜の中に作ら れた夜のよう だうろに声だけが 響く昔の飛行機のりはファントムロックっ てやつを恐れたらしい期が雲の中に入ると 一気に視界が効かなくなるでも初戦雲は 微小な水滴の塊 だその中で何かにぶつかることなんてない ないはずなのに怖いんだ 見えないってこと は白い闇の中で目に見えない一寸先に自分 と愛の命を奪う危険な物体が浮かんでいる のではないかその想像が熟練の飛行機のり たちの心をむんだその雲の中にある何かが ファントムロックつまり幻の岩だ自転車に 乗っていて目をつったことがあるかい 見通しのいい一本道でから人も車も何も やっってきていない状態で自転車をこぎ ながら目を閉じるんださっきまで見えてい た風景から想像できる数秒後の 道絶対に何にもぶつかることはない ぶつかることなんてないはずなのに目を 閉じたままではいられない必ず恐怖心が目 を開け させる人間は闇の中に幻の岩を無双する 生き物なん だクククと笑うような声が僕の前方から 漏れて くるではその旧家の地下に伸びる古い水道 で起きた出来事は一体何だったのだろう
ね師匠は光の失われたガレージの中でその 依頼の顛末を語っ たまなさんはそんなことがあった後地下 通路でぶつかったのは死んだ祖父なのだと 結論付けた他の家族に祖父自身もそれを 体験したらしいということを告げずにい たそして自分以外の家族が旅行などで全員 家から出払う日を選んで小川調査事務所の お化けの専門家である師匠を呼んだの だここで言うお化けとはこの界隈の興信所 業界の陰語であり不可解で無茶な依頼内容 を馬鹿にした表現なのだが師匠はその故障 を楽しんでいる風だっ たさんからもの専門家だと伺いましたがと 言われ苦笑したと いうともあれ師匠は真さんの導きで本宅の 地下の物置きから地下通路に入りその奥の 土蔵に潜入し たその間何か異様な気配を感じたそうだが 何者かの姿を見ることはなかっ た土蔵には代々家に伝わる顧問の類いやま さんの祖父がそれに関して綴ったが残され てい た今の家族には読めるものがいないという その江戸時代の顧問所師匠は片っぱしから 呼んでいっ たかつてそうしていたというまなさんの 祖父に習い1人で土蔵にこもり食材の明り だけを頼りに本を紐解いていったの だそしてその作業に丸1晩を費やして次の 日まさんを呼ん だ結論から言うと分かりません分からない と言う とあなたがその先の地下通路でぶつかった という誰かのこと です机の前に座ったまま向き直った師匠が そう告げるとまさんは不満そうな顔をした 霊能力者という触れ込みを聞いて依頼をし たのにあっさりとサを投げる なんてそういう言葉を口にしようとした 彼女を師匠は押しとめ たまあ分かった部分もあるのでまずそれを 聞いてください これは江戸高期天方年間に記された当時の この家の党首の覚え書き です師匠は趣だらけの黄色く変色した書物 を掲げて見せ たこれによると彼の2代前の投手であった 祖父には息子が3人おりそのうちの次男が 家督を継いでいるのですがそれが仙台で あり彼の父ですそして長子継続の時代で ありながら家を弟に譲った形の長はある 理由からこの土蔵に幽閉されていたような の です幽閉です
かまなさんは眉を しかめるあなた自身おっしゃっていた でしょうかつてここには雑誌郎があったと 家の噂話のような殿でしたがそれは真実の ようですこの地下の土蔵いその頃は地上 部分があったので土蔵の地下という方が 正確かもしれませんともかく土蔵の地下に はその長男を幽閉するために作られた雑誌 郎がありましたその地下空間は雑誌労が できる前から存在していましたが元々何の ための地下室なのかは不明なようですこの 覚え書きを記した党首は自分の叔父に 当たる人物を表して物狂いなり蹴りとして います気が狂ってしまった一族の恥を世間 へ出すことをはかったということ でしょう結局座敷郎の住人は外へ出ること もなく老死し ますその最後は自分自身の顔の川を全て爪 で引き剥がしちまみれになって混沌して 果てたのだと伝えられてい ます遠い先祖の悲惨な死に様を知りまな さんは息を飲ん だそれも自分は今その血の流れた場所に いるの だ不安げに周囲を見回し 始める座敷郎で死んだ叔父は密かに葬られ たですがその後彼の怨念はこの地下室に 満ちそして6件の通路に 溢れ出しやが本たをもむしばんで多くの 教授災いをもたらしたとされてい ます師匠は机の上に積み重ねられた顧問を 叩いて見せ たその時まなみさんの顔色が変わった そして自分の両手で肩を抱き怯えた表情を して小刻みに触れ始めたの だ私 がぶつかったの はごくりと唾を飲みながら硬直した顔から 眼球だけを動かして入ってきた狭い扉の方 を盗み見るような様子だっ たその扉の先の地下通路を目線の橋に 捉えようとしてそしてそうしてしまうこと を恐れているの だ師匠は頷いて1冊のノートを取り出した あなたのおじいさんも何度か真っ暗なこの 通路で何か得体の知れないものにぶつかり そのことに恐怖と興味を抱いて色々と調べ ていたようですこのノートは失礼ながら 読ませていただいたおじいさんの日記です やはり座敷郎で教師した先祖の存在に 行きついたようなのですがその幽霊や怨念 のなす仕業であるという結論に至りかけた ところで筆をぴたりと止めてい ます師匠はかしげなまさんを目に 立ち上がりに散らかった土蔵の中を
歩き回り始め たこの土蔵には確かに異様な気配を感じる ことがありますお父さんなどあなたのご 家族も感じている通りです亡くなったお じいさんもそのことを仕切りと書いてい ます気配気配 気配しかしその気配の主の姿は誰も見てい ません何かが起こりそうな嫌な感じはして もこの世のものではない誰かの姿を見る ことはなかったのですただ暗闇の中で誰か にぶつかったことを覗い てどこかで拾った孫の手を突き出して たった1つの扉を差し 示すその向こうには白熱刀の明りが照らす 地下の道が伸びて いる明りがカカにまたいて いるまた玉が切れかかっているのだそれに 気づいたまなさんの口からくもったような 悲鳴が漏れた交換したばかりなのにどうし て呆然とそううめいたの だあなたのおじいさんはこう考えました 本当にこの家を祟る怨念であればもっと何 らかの恐ろしいことを起こすのではないか と確かにそのようなことがあったとされる 記録は顧問所の中に三建されますしかし今 ではそれらしい祟りもありませんにも かわらず依然として異様な気配が満ちて いくような時があります これは一体どういうことなのかそう思って いた時おじいさんはある顧問所の記述を 見つけるの です師匠は付に戻りその引き出しから1冊 の古びた本を取り出したこれはおじいさん が見つけたもので死んだ座敷郎の住人を 葬った当主の弟にあたる人物が残した記録 ですやけにしんなりとした古い髪を慎重に めくりながらあるページに差しかかった ところで手を止める 彼はこの文書の中で叔父の無惨な死の有様 を国名に描写しているのですがその死の 間際に仕切りにくばっていたという言葉も 書き記していますここ ですまなさんの方を見ながら確かめるよう にゆっっくりと指を紙の上にはわせ たここにはこう書いています誰かがいる誰 かがいる とその時すーっと扉の向こうの地下道から 明りが消え たまなさんは体をふわせながら地下道への 扉と師匠の掲げる顧問女と交互に見合って いる泣きだしそうな顔 であなたにぶつかったのは誰だか分から ない誰かあなたのおじいさんも言っていた ように私のたどり着いた結論もそれです それ以上のことをどうしても知りたいの
です か師匠は静かにそう言ってまなさんの目を 正面から見つめ た淡々と語り終えた師匠の声の要因がかか に耳に 残る僕は鼻をつままれても分からない暗闇 の中でゾクゾクするような寒気を感じてい たそしてまた声土蔵から出ようとした時 地下道の白熱刀は消えたままだった土蔵の 中は頼りない食台の明りしかなかったので 入口のそばののスイッチを押したがなぜか それまでつかなかっ たカチカチという音だけが響いて地の底で 光を奪われる恐怖がじわじわと迫ってきた まなさんが持ってきていた懐中電灯で 照らしながら進もうとしたらいきなりその 明かりまで消えたんだ叩いても電池を グリグリ動かしてもだめ地面の底で真っ暗 闇さすがに気持ちが悪かったねで悲鳴を あげるまなさんをなめてなんとか手探りで 進み始めたんだ怖くてたまらないって言う から手を握ってあげた最初の角を右に 曲がってすぐにまた左に折れるとあと ほんの5mかそこらで本たの地下の物置き へ通じる階段にたどり着くはずだだ けど長いんだやけに暗闇が人間の時間感覚 を狂わせるのかそれでもなんとか奥まで たどり着いたさ突き当たりの壁にだったん だそこにあったのは階段がないんだよ上り の階段が暗闇の中で壁をペタペタ触ってる と右手側に何か空間を感じるんだ手を 伸ばしてみたら何もない通路の右側の壁が ないそこは行き止まりじゃなく角だったん だないはずの3つ目の 曲がり角さすがにやばいと思った ねまなさんも泣きわめき始めるし 泣きながら戻ろうって言うんだ1度土蔵の 方へ戻ろうってそう言いながら握った手を 引っ張ろうとしたその3つ目の曲がり角の 方へわけが分からなくなってきた戻るん なら逆のはず だ回れして真後ろへ進まなくてはならない なのに今忽然と現れたばかりの曲がり角の 先が戻る道だと いう彼女が乱しているのかの頭がどうかし てるのかなんだか嫌な予感がしたいつまで もここにいてはまずい予感がまなさんの手 を握ったまま私は言ったいや進もう土蔵に は戻らない方が いいそれで強引に手を引いて回りみをした んだ回りだと土蔵に戻るんじゃないかって 違うその時私は直感したどういうわけか わからないがたちは全く光のない通路で 知らず知らずのうちにある地点から 引き返し始めていたん
だ3つ目の曲り角はそのせいだ本たと土蔵 をつなぐ通路にはどちらから進んでも右へ 折れる角と左へ折れる角が1つずつしか ないそしてその順番は同じだ最初に右次に 左だ土蔵から出た私たちはまず最初の角を 右次の角を左に曲がったそして今さらに右 へ折れる角にたどり着いてしまった通路の 構造が空間ごとねじ曲がってでもいない 限りまっすぐ進んでいるつもりが本た側の 出口へ向かう直線でUターンしてしまった としか考えられない心理の迷宮だだったら もう一度回れ右をして戻れば本たの方へ 帰れる来るんだって強引に手を引いてね 戻り始めたんだよゆっくりゆっくりと壁に 手を触れたまま絶対にまっすぐ前に進む ようにその間誰かにぶつかりそうな気がし ていた誰だか分からない誰かにでもそんな ことは起こらなかった私がこの家の人間 じゃなかったからなのかでもその代わりに 奇妙なことが起きた土蔵に戻ろう土蔵に 戻ろうと言って抵抗するまなさんの声が やけにうつろになっていくんだぼそぼそと どこか遠くで呟いているようなそして握っ ている手がどんどん軽くなっていった ブランブラン とまるでその手首から先に何もついてい ないみたいだっ た楽しかったね最高の気分だ笑ってしまっ たよそうしてノームを振り払うみたいに 暗闇を抜け階段にたどり着いた上りの階段 だ本たへ戻ったんだ まなさんの手の感触も重さもいつの間にか 戻ってい た [音楽] チリチリ黒い布の下でオイルランプが カスカな音を立てて いる酸素を奪われて埋めいているかのよう だ奇妙な出来事を語り終えた師匠は口を つむ僕の意識も暗闇の中に戻さ れる 息苦しい その依頼は結局どうなったん です口を閉じたままの闇に向かって 問いかける分からないということが分かっ たわけだから達成されたことになる正規の 料金をもらったよま金払いの悪いような家 じゃないしそれどころか料金以外にもいい ものをもらっちゃっ たガサガサという 音あった土蔵で見つけたもう1つの顧問所 だよ何かが抱けられる 気配これはそこに存在していたこと自体 まなさんには教えていない彼女の祖父は もちろん知っていたようだ
けどそれはもらったんじゃなくて勝手に 取ってきたんじゃない か何ですかそれは何だと 思う くくく闇が口を薄く広げて 笑う座敷郎に幽されていたその男自身が 記した文書だ よ髪をめくる 音そう明で明瞭な文章だあの土蔵で起こっ たことを国名に記録している明瞭であるが ゆえに確かに物狂いなり蹴りという他ない それほどありえないことばかり書いている 彼は3日に1度寝ている間に右手と左手を 入れ替えられたと言っている何者かにだ 左腕についている右手の機能について詳細 に観察し記述してあるそれだけじゃない ある時には右手と左足をある時には右足と 首をそしてまたある時には付の上のロソと 自分の顔を入れ替えられたと書いている 師匠の言葉に機械な想像が脳力を よぎる私がこの顧問を持ち出したのは 正しかったと思っている危険すぎるから だこれがある限りあの家の会議は終わら ないと思うそして何かもっと恐ろしいこと が起こった可能性もあるその座敷郎の住人 は最後には自分の顔と書きとめてきた記録 とを入れ替えられたと言って いる書きとめてきた 記録それは今師匠が手にしているであろう 顧問女のことではないの かそうだ彼はそこにいたりついに自分の 書きしてきた記録を破棄しようとした いしきものとして自らの手で破こうとした んだ最後に冷静なヒッチでそのことが書か れているそれは成功したのだろうか彼は顔 の皮を自分で引き剥がして死んでいる彼が 破いたものは一体何だったのかそして現代 にまで残るこの顧問女は 一体 歪む闇が 歪むなけがうを巻いて いるそれからだ私はよくぶつかるように なったあの地下道ではなく明りを消した 自分の部屋やその辺のちょっとした暗がり で誰だかわからない誰か とぐにゃぐにゃと歪む闇の向こうから師匠 の声が流れてくるいやそれは本当に師匠の 声なの か添いに立つガレージの中のはずなのに 地面の下に埋もれた空洞の中にいるような 気がして くるそこで立って歩いてみろ よ囁くようにそんな声が 聞こえる僕は凍りついたように動かない 自分の足を
見下ろす見えないけれどそこにあるはずの 足 を今は無理 だ ぶつかるぶつかってしまう ここがどこだかも分からなくなりそうな 暗闇の中誰だか分からない誰か とそんな怪しい妄想に とらわれる沈黙の時間が流れやがて目の前 にランプの明りが灯さ れる覆っていた布が取り払われたの だ黒い破壊しに腰かける師匠の手にはもう 顧は握られてい ないはおしまいだ指の背を顎の下に当て 挑むような目つきをして いるそして口を開きおじいちゃんじゃない かなと言えばこんな話もあると次の話を 始め たその言葉に反応したようにまたまた別の 不気味な気配がガレージの隅の一角から 漂い 始める降り積もるように静かに夜は吹けて いっ た [音楽] JA
#師匠シリーズ #朗読 #読み聞かせ
ウニ 作
阿礼・響吽 読
※この作品は、作者のウニ様に許可をいただき、朗読させていただいております。
BGM・効果音素材提供
ポケットサウンド 様
@pocketse
Music-Note.jp 様
http://Music-Note.jp
DOVA-SYNDROME 様
魔王魂
森田交一 様
(CC BY 4.0)
PeriTune
Seiko 様
(CC BY 4.0)
甘茶の音楽工房
甘茶 様
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フカガワ様
VSQ plus+ 様
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小森平 様
OtoLogic 様
(CC BY 4.0)
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