師匠シリーズ第八十九話『連想I』3/3

[音楽] ハウンド結論から言うと分かりません 分からないと言う とあなたがその先の地下通路でぶつかった という誰かのこと です机の前に座ったまま向き直った師匠が そう告げるとまなさんは不満そうな顔をし た 霊能力者という触れ込みを聞いて依頼をし たのにあっさりとサを投げる なんてそういう言葉を口にしようとした 彼女を師匠は押しとめ たま分かった部分もあるのでまずそれを 聞いてくださいこれは江戸高期天方年間に 記された当時のこの家の党首の覚え書き です師匠はシだらけの黄色く変色した書物 を掲げて見せ たこれによると彼の2代前の党首であった 祖父には息子が3人おりそのうちの次男が 家督を継いでいるのですがそれが先代で あり彼の父ですそして長子継続の時代で ありながら家督を弟に譲った形の長男は ある理由からこの土蔵に幽閉されていた ようなの です幽です かまなさんは眉を しかめるあなた自身おっしゃっていた でしょうかつてここには雑誌労があったと 家の噂話のような電でしたがそれは私の ようですこの地下の土蔵いえその頃は地上 部分があったので土蔵の地下という方が 正確かもしれませんともかく土蔵の地下に はその長男を幽閉するために作られた座敷 郎がありましたその地下空間は雑誌労が できる前から存在していましたが元々何の ための地下室なのかは不明なようだです この覚え書きを記した党首は自分の叔父に 当たる人物を表して物狂いなり蹴りとして います気が狂ってしまった一族の恥を世間 へ出すことをはかったということでしょう 結局座敷郎の住人は外へ出ることもなく 老死し ますその最後は自分自身の顔の川を全て爪 で引き剥がしちまみれになって混沌して 果てたのだと伝えられてい ます遠い先祖の悲惨な死に様を知りまな さんは息を飲んだそれも自分は今その血の 流れた場所にいるの だ不安気に周囲を見回し 始める座敷郎で死んだ叔父は密かに葬られ たようですがその後彼の怨念はこの地下室 に満ちそして6件の通路に 溢れ出しやがて本たをもむしばんで多くの 教授災いをもたらしたとされています師匠 は机の上に積み重ねられた小性を叩いて

見せ たその時まなさんの顔色が変わったそして 自分の両手で肩を抱き怯えた表情をして 小刻みに触れ始めたの だ私 がぶつかったの はごくりと唾を飲みながら硬直した顔から 眼球だけを動かして入ってきた狭い扉の方 を盗み見るような様子だったその扉の先の 地下通路を目線の端に捉えようとして そしてそうしてしまうことを恐れているの だ師匠は頷いて1冊のノートを取り出した あなたのおじいさんも何度か真っ暗なこの 通路で何か得体の知れないものにぶつかり そのことに恐怖と興味を抱いて色々と調べ ていたようですこのノートは失礼ながら 読ませていたいたおじいさんの日記 ですり座敷で教した先祖の存在に行きつい たようなのですがその幽霊や怨念のなす 仕業であるという結論に至りかけたところ で筆をぴたりと止めてい ます師匠はいぶかしげなまなさんを尻目に 立ち上がり一夜にして散らかった土蔵の中 を歩き回り始め たこの土蔵には確かに異様な気配を感じる ことがありますお父さんなどあなたのご 家族も感じている通りです亡くなったおじ さんももそのことを仕切りと書いています 気配気配 気配しかしその気配の主の姿は誰も見てい ません何かが起こりそうな嫌な感じはして もこの世のものではない誰かの姿を見る ことはなかったのですただ暗闇の中で誰か にぶつかったことを覗い てどこかで拾った孫の手を突き出して たった1つの扉を差し 示すその向こうには白熱刀の明りが照らす 地下の道が伸びて いる明りがカカにまたいて いるまた玉が切れかかっているのだそれに 気づいたまなさんの口からくもったような 悲鳴が漏れた交換したばかりなのにどうし て呆然とそううめいたの だあなたのおじいさんはこう考えました 本当にこの家をたる怨念であればもっと何 らかの恐ろしいを起こすのではないかと 確かにそのようなことがあったとされる 記録は顧問の中に建されますしかし今では それらしい祟りもありませんにもかわらず 依然として異様な気配が満ちていくような 時がありますこれは一体どういうことなの かそう思っていた時おじいさんはある顧問 所の記述を見つけるの です師匠は机に戻りその引き出しから1冊 の古びた本を取り出したこれはおじいさん

が見つけたもので死んだ座敷郎の住人を 葬った当初の弟にあたる人物が残した記録 ですやけにしんなりとした古い髪を慎重に めくりながらあるページに差しかかった ところで手を 止める彼はこの文書の中で叔父の無惨な死 の有様を国名に描写しているのですがその 死の間際に仕切りにくばっていたという 言葉も書き記していますここです まなさんの方を見ながら確かめるように ゆっっくりと指を髪の上にはわせ たここにはこう書いています誰かがいる誰 かがいる とその時すーっと扉の向こうの地下道から 明りが消え たまなさんは体をふわせながら地下道への 扉と師匠の掲げる顧問女と交互に見合って いる泣きだしそうな顔で あなたにぶつかったのは誰だか分からない 誰かあなたのおじいさんも言っていたよう に私のたどり着いた結論もそれですそれ 以上のことをどうしても知りたいのです か師匠は静かにそう言ってまなさんの目を 正面から見つめ た淡々と語り終えた師匠の声の要因がかか に耳に 残る僕は鼻をつままれても分からない暗闇 の中でゾクゾクするような寒気を感じてい たそしてまた声土蔵から出ようとした時 地下道の白熱塔は消えたままだった土蔵の 中は頼りない食台の明りしかなかったので 入り口のそばの正明のスイッチを押したが なぜかそれまでつかなかっ たカチカチという音だけが響いて地の底で 光を奪われる恐怖がじわじわと迫ってき たさんが持ってきていたで照らしながら 進もうとしたらいきなりその明りまで消え たんだ叩いても電池をグリグリ動かしても だめ地面の底で真っ暗闇さすがに気持ちが 悪かったねで悲鳴をあげるまなみさんを なめてなんとか手探りで進み始めたんだ 怖くてたまらないって言うから手を握って あげた最初の角を右に曲がってすぐにまた 左に折れるとあとほんの5mかそこらで本 の地下の物置きへ通じる階にたどり着く はずだだ けど長いんだやけに暗闇が人間の時間感覚 を狂わせるのかそれでもなんとか奥まで たどり着いたさ突き当たりの壁に壁だった んだそこにあったのは階段がないんだよ 登りの階段が暗闇の中で壁をペタペタ触っ てると右手側に何か空間を感じるんだをし てみたら何もない通路の右側の壁がない そこは行き止まりじゃなく角だったんだ ないはずの3つ目の

曲がり角さすがにやばいと思った ねまなさんも泣きわめき始めるし泣き ながら戻ろうって言うんだ1度土蔵の方へ 戻ろうってそう言いながら握った手を 引っ張ろうとしたその3つ目の曲がり角の 方へわが分からなくなってきた 戻るんなら逆のはず だ回れ右して真後ろへ進まなくてはなら ないなのに今忽然と現れたばかりの 曲がり角の先が戻る道だと いう彼女が錯乱しているのか私の頭がどう かしてるのかなんだか嫌な予感がしたいつ までもここにいてはまずい予感がまなさん の手を握ったまま私は言ったいや進もうに は戻らない方が いいそれで強引に手を引いて回りをしたん だ回りだと土蔵に戻るんじゃないかって 違うその時私は直感したどういうわけか わからないが私たちは全く光のない通路で 知らず知らずのうちにある地点から 引き返し始めていたん だ3つ目の曲り角はそのせいだ本と土蔵を つぐ通路にはどちらからでも右へ折れる角 と左へ折れる角が1つずつしかないそして その順番は同じだ最初に右次に左だ土蔵 から出た私たちはまず最初の角を右次の角 を左に曲がったそして今さらに右へ折れる 角にたどり着いてしまった通路の構造が 空間ごとねじ曲がってでもいない限り まっすぐ進んでいるつもりが本側の向う 直線でターンしてしまったとしか考えられ ない心理の迷宮だだったらもう一度回れ右 をして戻れば本たの方へ帰れる来るんだっ て強引に手を引いてね戻り始めたんだよ ゆっくりゆっくりと壁に手を触れたまま 絶対にまっすぐ前に進むようにその間誰か にぶつかりそうな気がしていた誰だか わからない誰かにでもそんなことは怒ら なかった私がこの家の人間じゃなかった からなのかでもその代わりに奇妙なことが 起きた土蔵に戻ろう土蔵に戻ろうと言って 抵抗するまなさんの声がやけにうつろに なっていくんだぼそぼそとどこか遠くで 呟いているようなそして握っている手が どんどん軽くなっていったブランブラン とまるでその手首から先に何もついてい ないみたいだった 楽しかったね最高の気分だ笑ってしまった よそうしてノームを振り払うみたいに暗闇 を抜け階段にたどり着いた上りの階段だ本 たへ戻ったんだまなみさんの手の感触も重 さもいつの間にか戻ってい た チリチリ黒い布の下でオイルランプが カスカな音を立てて

いる酸素を奪われてうめいているかのよう だ奇妙な出来事を語り終えた師匠は口を つむ僕の意識も暗闇の中に戻さ れる [音楽] 息苦しいその依頼は結局どうなったん です口を閉じたままの闇に向かって 問いかける分からないということが分かっ たわけだから達成されたことになる正規の 料金をもらったよま金払いの悪いような家 じゃないしそれどころか料金以外にもいい ものをもらっちゃっ たガサガサという 音あった土蔵で見つけたもう1つの顧問所 だよ何かが抱けられる 気配これはそこに存在していたこと自体 まなさんには教えていない彼女の祖父は もちろん知っていたようだけど それはもらったんじゃなくて勝手に取って きたんじゃない か何ですかそれはなんだと思う くくく闇が口を薄く広げて 笑う座敷労に幽閉されていたその男自身が 記した文書だ よ髪をめくる 音そう明で明瞭な文章だあの土蔵で起こっ たことを国名に記録している明瞭であるが ゆえに確かに物狂いなり蹴りという他ない それほどありえないことばかり書いている 彼は3日に1度寝ている間に右手と左手を 入れ替えられたと言っている何者かに だ左腕についている右手の機能について 詳細に観察し記述してあるそれだけじゃ ないある時には右手と左足をある時には 右足と首をそしてまたある時には机の上の ロソと自分の顔を入れ替えられたと書いて いる師匠の言葉に機械な想像が脳力を よぎる私がこの顧問定を持ち出したのは 正しかったと思っている危険すぎるから だこれがある限りあの家の会議は終わら ないと思うそして何かもっと恐ろしいこと が起こった可能性もあるその座敷の住人は 最後には自分の顔ときめてきた記録とを 入れ替えられたと言って いる書きとめてきた 記録それは今師匠が手にしているであろう 小女のことではないの かそうだ彼はそこにいたりついに自分の 書き記してきた記録を破棄しようとした いしきものとして自らの手で破こうとした んだ最後に冷静なヒッチでそのことが書か れているそれは成功したのだろうか彼は顔 の川をで引きして死んでいる彼が破いた ものは一体何だったのかそして現代にまで 残るこの小女は

一体 歪む闇が 歪む異様な気配が渦を巻いて いるそれからだ私はよくぶつかるように なったあの地下道ではなく明かりを消した 自分の部屋やその辺のちょっとした暗がり で誰だか分からない誰か とぐにゃぐにゃと歪む闇の向こうから師匠 の声が流れて くるいやそれは本当に師匠の声なの か川沿いに立つ人体ガレージの中のはずな のに地面の下に埋もれた空洞の中にいる ような気がして くるそこで立って歩いてみろ よさくようにそんな声が 聞こえる 僕は凍りついたように動かない自分の足を 見下ろす見えないけれどそこにあるはずの 足 を今は無理 だ ぶつかれぶつかって しまうここがどこだかも分からなくなり そうな暗闇の中誰だか分からない誰か とそんな怪しい妄想に とらわれる沈黙の時間がが流れやがて目の 前にランプの明りが灯さ れる覆っていた布が取り払われたの だ黒い破壊しに腰かける師匠の手にはもう 小女は握られてい ないこの話はおしまいだ指の背を顎の下に 果て挑むような目つきをして いるそして口を開きおじいちゃんじゃない かなと言えばこんな話もあると次の話を 始め たその言葉に反応したようにまたまた別の 不気味な気配がガレージの隅の一角から 漂い 始める降り積もるように静かに夜は吹けて いっ [音楽] た

#師匠シリーズ #朗読 #読み聞かせ
ウニ 作
阿礼・響吽 読

※この作品は、作者のウニ様に許可をいただき、朗読させていただいております。

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