能登半島地震の被災地で慈恵病院が助産師派遣や炊き出し【熊本】 (24/01/16 19:00)

能登半島地震の被災地石川県の医療機関で熊本市の慈恵病院が支援活動を行いました。被災を経験した熊本からは何ができるのか、今、必要とされる支援を模索しての行動でした。

【炊き出しの列に並んだ人】
「ありがとうございます。遠いところから」「涙出て来るわ。ありがとう」

まさかの元日の地震から12日、被災地へ、熊本からエールが送られました。
     
1月10日、熊本市の慈恵病院。職員は炊き出しに使う食材などの準備に追われていました。

【慈恵病院 蓮田健理事長】
「震災後、私は悶々としていました。どうやったらお役に立てるかと思いました。
限界だと思う、あちらの病院のスタッフは」

慈恵病院は現地の医療関係者に支援を申し出、石川県七尾市の医療機関が受け入れを希望しました。

【慈恵病院 蓮田健理事長】
「石川県に迷惑をかけるのではとじっとしてるのではなくて、(七尾市は)比較的道路が通れてあそこ(七尾市)を起点として(被害の大きい)能登半島の奥の方に行かれますから。後方支援の後方支援ができないかということで、しかも断られない支援はなんだろうと考えたときにお肉だろうと。調理する必要のないかたちの提供を考えた」

被災地に負担をかけない、今、必要とされている支援を模索しました。

【上田留美 栄養管理室長】
「これは牛丼の具です電気が通っているというということでしたので真空の袋ごとオーブンで蒸してもらえればそのまま使える」

牛丼の具は石川で好まれるという少し甘めの味付けに。そしてこんな工夫も…

【調理師 中村直生さん】
「避難中の人はあまり濃い味はのどが渇くので、それは控えて優しい味にしようと思っている」

九州産の牛肉がたっぷり入ったビーフシチューも準備しました。

支援を申し出た企業からの物資も積み込まれた4トントラック。職員は出発を見送りました。

【竹部智子看護部長】
「1つ1つ目の前のことを安全に大切にしながら待っている皆さんに届けばいいと思う」

そして翌日、職員10人は被災地に向け出発しました。
能登半島の中央部にある石川県七尾市は元日に震度6強を観測。
能登北部より被害は少なかったものの今も断水が続いています。

12日の早朝、職員は支援活動を行う恵寿総合病院に到着しました。
借りるのは炊き出しの場所だけです。

【恵寿総合病院 鎌田徹院長】
「ありがとうございます。職員は大変で不眠不休で、メーンは職員の慰労ということで助かります」

恵寿総合病院では断水のため手術や治療には井戸水を使用、透析が必要な患者には
自衛隊からの給水を頼りに治療を進めています。

【炊き出し開始】
「配れる?」「行けます?」

医療従事者や地域の人のために用意されたのはあか牛や黒毛和牛など合わせて300キロ。それにあたたかい豚汁です。

【炊き出しに来た人たちと慈恵病院職員のやりとり】
「濃くない、ちょうどいい。グー、グー!」
【豚汁を小鍋に提供】
【竹部看護部長】「サーロインと…」
【子ども】「めっちゃうまそう」

【恵寿総合病院の看護師】
「カップラーメンばかりでたんぱく質とれなくて、とてもうれしいです」

【さっそく車で食べる親子】
「どう?」「おいしい」

【炊き出しに並んだ高齢の女性】
「うれしい。熊本の人たちも(熊本地震で)ひどい目にあったから、よくこんな
遠いところまで来てくれて。感謝感謝やわ、うれしいわ」

【恵寿総合病院 神野正博 理事長】
「1日から普段の2倍も3倍もがんばっている職員や地域の方々に支援していただくことはうれしいことだと感謝している。(熊本地震を)経験したからこそ特に疲弊している職員たちが何を求めているか分かっていただいた」
こちらのたくさんのお肉を抱えた子どもたちが向かった先は…地震後に開設された学童保育。

【学童を運営する職員】
「くまモンのいるここから2日もかけて大きいトラックで七尾の恵寿病院までお肉と…」
【子どもたち】「みかん!」

保育園や学校が再開するまで医療従事者であり親である職員が安心して働けるように開設。熊本のお肉は子どもたちの昼食になりました。

【男の子】
「やわらかくておいしい」
【恵寿総合病院の職員】
(Qちょっとは元気が出ました?)
「だいぶん元気が出ました。頑張ろうと思う」

そしてこの日、恵寿総合病院から要請を受け慈恵病院の助産師2人は医療現場でも活動しました。

ボイラーの故障で暖房がきかないため産婦人科の患者や赤ちゃんは被災を免れた病棟に移動。普段は内視鏡検査の患者のために使っている部屋に入院しています。

【恵寿総合病院 助産師 仙波果歩さん】
「近くのクリニックから『断水で分娩受け入れできない』ということで当院に運ばれてくる方も何人かいるし、金沢に避難している妊婦もいる」

そんな中でも新しい命は誕生しています。

【寺田真友里さんの長男(第2子)1月7日生まれ 羽樂ちゃん(男の子)】
「予定日が1日だったのでいつ生まれてもという感じでこわかった。次の日も
車中泊して寝れなかったので、いつもと違うことはあったけど無事に生まれてくれたのでそれだけで何より」

この日、新たに2人の命が誕生。慈恵病院の助産師もお産の介助を行ったということです。

近くの産婦人科医院にも支援物資を届けました。
【牛丼の具やビーフシチューを届けた】

【慈恵病院 竹部智子看護部長】
「熊本から元気を届けたいという思いでまいりましたのでひたすらそれだけ活動の目標に目の前のことを大切にしようということが実ってよかった」

【竹部看護部長と恵寿総合病院の職員】
「また何かありましたら…」「このご縁大事にしたいと思います。本当にありがとうございます」

【けいじゅ学童の子どもたち】
「おいしいお肉、ありがとうございました」

同じ経験をしているからこそできる熊本からのエール、被災地・石川に届きました。

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