【スカッとする話】両親と寿司屋を営む俺。閉店間際に痩せ細った少年がやって来て「お寿司食べた事無くて…5円しか無いです…」俺は特上寿司を振舞ってあげた→1年後、廃業の危機

名前は佐藤 孝太郎俺の家は寿司屋を営んでいる親父が 3代目で創業70年を超えるからいわゆる 死にとも言えるだろう俺はそこの1人息子 として生まれただから生まれながらにして 4代目として店を継ぐという自分の将来が 決まっているようなものだったそれについ て幼い時は特に何かを思ったことは ない親父は俺を4代目として育てるために 小さい頃から厳しくしつけてきた食事の マナーや言葉の使い方礼儀作法は小学校の 低学年で叩き込まれたもし何か祖をしよう ものならすぐに怒鳴り声が飛んでくるよう な親父だったしかも俺は家でお菓子を食べ たりジュースを飲んだりといったことが 認められてなかったそんなものを食べてい ては味が分からなくなるという親父の考え からだった友達の家に行って初めて食べた 駄菓子の味にすごく感動したことを今でも 覚えているただ外でそんなものを食べた ことが親父に知れた日にはもう大変だった そんな親父のことが俺はしそ怖かったし その当時は親父の笑顔なんて見た記憶が ほとんど ない店に出て客と話してる時なんかは乳な 顔で鬼作に話すのに俺に向けられる顔は いつだって険しいものばかりだっ た休日に家族で出かけることもあったが それはすごく珍しいことでたまに動物園 なんかに行っても俺は動物なんかよりも 親父の顔色ばっかり伺っていたような気が する厳しいのは日常のしつけだけでなかっ た将来の後目を育てるための寿司職人とし ての修行は輪をかけて厳しいものだった いい魚の見極め方や包丁の握り方シリの 炊き方や調理用具の扱いまで小学生に何を そこまでと思うほどに親父の修行は 厳しかっ た父に弟子入りした兄弟子たちと比べても 息子だからと俺に甘くすることなんて なかった毎日小学校から帰ってきては友達 と遊びに行くこともできず仕込みの手伝い をさせられることばかりで遊び盛りの俺に はかなり窮屈な生活であった特にきつかっ たのは指を怪我しないよう常々言われてい たせいで友達に野球に誘われても参加する ことができなかったことだ職人にとって下 と指は商売道具それらを丁寧に扱わないと すぐに親父の土星は飛んできた親父の下は そんな言葉扱い方していいのかよとも思っ たがそんなことを言えばもっとひどい目に 会うだけだから黙ってい たもも母も親父の後散歩下がってついて いくような昭和稼ぎの人だったから俺に 厳しく当たる親父に口を出したりなんてし

たことがなかった物静かで優しい母さんだ から俺に対して大きな声をあげるなんて ことも1度もなかったそんな風に俺は頃 ついた時から育てられてきていたから子供 への接し方なんてどこの家庭もそんなよう なもんだとばっかり思っていただから小学 3年生の時に会った親子遠足で来ていた みんなのお父さんにすごく驚いたものだ どこの家族もみんなが笑顔で楽しそうにお 弁当を囲んでいたんだよその両親は笑って 肩を叩き合いたり同級生なんかは父親に 肩車なんかしてもらっている 嫌いなピーマンを父に押し付ける友達もい たし母さんの分の料理を取り分けている 父親だっていた俺にとってそんなよその 家庭で繰り広げられているわあいあいとし たやり取りはただただ衝撃的だったただ他 の家庭からしたらよっぽどうちのシートの 方が異質な空間だったのかもしれない父は 職人であるこだわりからか一度家庭の中に 入れば厨に立つことはしなかっただから俺 はその時まだ父親の手料理なんて食べた ことはなかったしその遠足のお弁当を作っ たのももちろん母さんだったそんな母の 弁当を正座して無言でつつくだけそこには 他の家族にあるような男性はなかったし俺 は人しきり食べ終えると親父の許可を得た 後そくさと他の友達と遊ぶためシートを 離れたその時よそのお父さんが鬼ごっこに 混ざってきたりしたのだがその気にまた 驚いたその時から俺は自分の家がいわゆる 普通の家庭ではないことに気がついた そしてよその家が羨ましくて仕方が なくなった普通の家庭では誕生日や クリスマスになるとプレゼントが買って もらえる らしい親に敬語を使う必要もないし身の 周りのことを全部自分でやる必要なんて ないテレビを見ながらご飯を食べたりする し親父よりも先にお風呂に入ったりもする らしい休日になれば家族で遊園地に行っ たりその時にソフトクリームなんかも 食べるんだそうだそしてほとんどの友人は 親に激しく怒鳴られたことなんて1度も ない らしいよその家庭では当たり前のことが うちの家には何1つとしてなかった今思え ば親父は親父なりに俺のことを愛していた し大切に思っていたと 分かるただその時の俺には不満しかなかっ たなんでうちの家だけこんなに厳しいん だろうなんでよその子は許されるわがまま が僕は許されないんだろうっ てきっと両親は僕のことが可愛くないんだ 僕のことが好きじゃないからこんなに

厳しく当たるんだそんな風に考えるように なるまでそう時間はかからなかっ そして中学生になってだんだんと体も 大きくなっていくうちにそんな両親に 対する反抗心も大きくなっていった部活動 に入ることもなく中学校から帰るとすぐに 砲義に身を包む冷たい水で皿を洗い職人の ために包丁を研ぎ揚げ油を入れ替え天内を 隅々まで掃除するその他雑用ばかりを こなす自分の生活に強い違和感と不満を 覚えていたそして中学3年生になる頃には 俺の身長は親父とそんなに変わらないほど に大きくなり次第に親父に言い返すことも 多くなっていったそんな俺の方を父は何度 も張ったが俺もやられっぱなしでは なくなったそうして俺は親に反抗している うちにいわゆる不良の道を歩んでいって しまったん だ高校生になったばかの俺は夜の町で 遊び回った先輩の単射の後ろに乗せて もらって夜の町を かけ回す奴には片っ端から喧嘩を売っては 大して強くもない俺はよくボコボコにされ たそんな風に思いつくままに生きていた 日々だったただ不思議なもので酒とタバコ をやろうとは思わなかったなんだかそれら を口にすることで自分の覚がおかしくなる ような気がしていたのだろうか別にその時 は4代目なんてつきはさらさらなかったし 自暴時期な人生を歩むつもりでいたそれで もなぜだか友達が差し出してくるタバコを 俺は断るのだっ たその日も俺は先輩の単射の後ろに 乗り込み夜の街へと繰り出していたその日 は途中で強い雨が降り始めたただでさえも 悪く道も滑りやすい俺たちは今日は 引き返すかなんて元来た道を戻り始めたん だすると運転していた先輩はカーブで バランスを崩し俺たち2人は思いっきり ガードレールに叩きつけられた全身に しびれるような熱さと痛みを感じたがすぐ に俺の意識は遠ざかっていっ た気づけば俺は病室のベッドに寝かされて いた 足はギプスで固定されていて腕には天敵の チューブが刺さっていたそしてベッドの脇 には泣きそうな顔の母さんと見たことが ないほど険しい顔をした親父が座っていた そして俺の目が冷めたのに気がつくと 母さんは一目も気にせず俺に抱きついてき た高校生にもなって母さんに抱きしめ られるのは気恥ずかしかったが心配をかけ た手前仕方なくそのままされるがままに なっていたそして親父が恐ろしい顔をし ながら俺の元に近づいてきた俺は今までの

ことも含めて親父にこれまでにないほどに 叱られるそんな風に身構えただが親父は俺 にゆっくり聞い た大丈夫か意識はっきりしているか痛む ところはないかああ大丈夫だよよ体中痛い けど別に立ち上がれって言われたらできる くらいの痛みだ親父の心配してる指だって 大丈夫だよ別に問題なく動く馬鹿野郎指 なんて遠だっていいお前さえお前さえこう して生きててくれればそれ [音楽] でそれ以上は言葉にならなかっ た俺は初めて親父の泣くところを見た眉間 に深い芝を寄せたまま親父の目からは涙が いく筋も流れた恐ろしくて仕方のなかった 親父の泣くところを見てしまった俺は どんな反応をしていいかも分からずただ 俯いたそして一言心配かけてごめんと謝っ たそして親父と母さんはそのまま家に帰り 俺も数日間入院した後家に帰ることができ た病院から退院して家に帰った日はは さすがに俺も遊びに出る気にもならず自分 の部屋でゴロゴロしていたそんな時部屋の 扉を母さんがノックし た父さんが呼んでいますよ何か話がある みたいだから降りておいで今日は早めに 店じまいしたみたいだからお店の方に顔を 出し なさいなんだろうと思いながら俺は やっぱり時間差でめちゃくちゃ怒られるの かなまだ怪我も痛むってのになんて思い ながら店の方に顔を出した店の方に行くと そこには客の前に立つ時のようにピシッと 発砲着を着て包丁を持つ親父がいたそして 俺にカウンターに座るよう言ってき た今日はお前に俺の寿司を振る舞ってやる 黙って 食えそう言って親父は板場に立って寿司を 握り始めた長いこと修行の身としてその 背中や仕草を見てきたつもりではあっただ がこうして客の座るカウンターから見る 親父の所さはそれは美しいものだった 流れるような手つきでシリを握りその上に 何とも鮮やかにさかれたネタが置かれる そしてそのまま俺の前に差し出された食っ ていいのかためらいつつもずっと病院食で うんざりしていた俺はその寿司を口に 放り込んだただただ美味しかっ たただの酢飯の上に魚を乗っけただけの ものがこんなにうまい なんて感動した俺は何も言葉が出なかった そんな俺に次々と親父は寿司を出して くれるそのどれもが俺が自分で握ったもの とは雲泥の差でどうしてこうも違うものな んだと不思議にすら思っ

たそそうして親父なりのコースを全部食べ 終えた俺は幸せで満たされてい たそんな俺に向かって親父はどうだ うまかったかお前や兄弟の握るもんとは訳 がちげえ だろ俺はこの味に達するまでにお前のじ さんから20年以上きっちりしごかれたん だそうしてこの味でこの店の看板を守って きたんだ ぜなあ こうして本当にうまいものを食べるとよ いろんな悩み事とかがどうでも良くなって くるだろう腹がいっぱいになるとな人って のは心もいっぱいに満たされるんだお前は 今毎日遊び回ってるけどよあれでお前の心 の中は満たされてるのかいそれでいいなら いいんだけどよあんまり母さんを心配さ せるんじゃねえ よそう言われた俺は自分の今までの行いを 心から反省した俺も頭のどこかじゃ立派な 寿司職人になることを思い描いていたはず なん だそれでも日々の辛い修行や厳しい親父に 耐えきれなくてそこから逃げてただけだ ただこうして親父の握る本当にうまい寿司 とそれが人をいかに幸せにするかについて ようやく気がつくことができただから俺は 次から心を入れ替えてまた板場に立ち親父 の元で修行を始めた兄弟も母さんも嬉し そうだっ た親父はなんだか憎まれ口を叩いていた気 もするが俺は何度も頭を下げ指導を仰い だそれから俺は6年間親父につきっきりで 今までないくらい真剣に修行に励ん だ今振り返ってもその時の記憶はうっすら としか残っていないそれくらい必死だった し一生懸命だっ たただ俺が24歳になる時親父が倒れた店 を閉めた後に倒れるところが職人である 親父らしさだなとすら思った俺が翌日の 仕込みをしていると今の方から母さんが 叫ぶ声が聞こえた何事かと思った俺がかけ ていくとそこに親父が倒れていた そのまま急いで救急所を呼び親父は集中 治療室に消えていった俺の母さんはその 部屋の前に置かれた暗く小さなベンチで ただただ治療が終わるのを待っ たどれくらいの時間が経ったのだろうか 治療が終わったのか中から手姿の医者が出 てき たお父さんはお父さんは大丈夫なんですか 無事手術は済んだんでしょうか そう尋ねる母さんと俺に向かって医者は 説明をするからと言って小さな部屋に案内 したそこで医者は父さんの病状について

説明を始め た父さんが今回倒れたのは不正脈が原因 だった心臓の働き自体が華麗によって 弱まって いるとりあえず今すぐなくなるということ はないけれど注意深く経過を観察していく 必要がある当面は入院してもらうし今後も 継続して通院してもらうそんなようなこと が医者の口から発せられたそして1番衝撃 的だったのは親父は今までみたいに寿司 職人を続けることはできないと言われた ことだったずっと立ちっぱなしは当然 難しいしそれ以上に病気の信行によっては 板場にいることすら難しいかもしれないと 言われた それを聞いた俺は心の中の大きな柱が音を 立てて崩れ去ったような気がし たずっと俺の前に立ってその目標となる 背中を見せてきてくれた親父そんな親父が もう寿司を握ることができないかもしれ ない寿司に一生をかけてきた人なのにそれ を取り上げるなんてもし神様がいるのなら なんて残酷なんだろうと思ったとりあえず その日は面会もできなかったから後日 改めて親父の見舞に来たそして数日ぶりに 病室のベッドに寝ている親父にあった たった数日ぶりなのに親父の体はすごく 細く小さくなったように感じた親父は俺と 母さんが来たことに気がつくと身を起こし た おお心配かけて悪かったななんだかあれだ な昔のお前と立場が逆転しちまったな そんなことはいいんだよ親父なあどうなん だよ体の調子は平気なの かどうなんだろうな今はまあこうして動か せているけどなお医者さんの話じゃいつ 容大が急変してもおかしくはないそうだだ からよ今のうちにお前に伝えておきたい ことがあるん だなんだよ演技でもないいいよ家に帰って から聞くからさまた今度聞かせて よいいからよまあ黙って聞けもしかしたら もう俺は店に戻ることはできないかもしれ ないだからもしその時はお前があの店を 継ぐんだ分かるか4代目のお披露目だお前 には小学生の時からどの弟子よりも厳しく 寿司のことを教え込んできた特にここ最近 は本当によく頑張っていたなだから安心 しろお前の寿司はもう俺に引を取らね自信 を持てこの俺のお住みつきだ ぞそんなことを言われたって俺は嬉しくも なんともねえよ俺はもっと親父の背中を見 ていたいしもっとたくさんのことを学ばせ てもらいたいんだ全然足りないまだまだ俺 が看板を背負うのは無理だよだからさ

そんな風に言わないでくれ よそんな風に弱を吐く俺に向かって親父は 優しく微笑んだあんなに優しい親父の笑顔 はあの時が初めてだったそれと同時に最後 でもあったその数日後親父の容態は急に 悪くなり連絡を受けて俺と母さんが 駆けつけた時にはもうその心臓は動くこと を止めてい たその後は祝しと行われた多くの列者が 親父の死をみ痛んでい たただ俺はまだ呆然としていてその時来て くれた人たちがどんなことを話してくれた かなんて覚えてやしなかっ た数日が経ってもなかなか俺の気持ちが 前向きになることはなくうちの店ののれは しまわれたままだったそんな時母さんが 強く俺を叱ったん だいつまでうじうじしているのそんな風に いつまでも落ち込んでいるあんたのことを 見てもお父さんは喜んだりなんてしないよ あんたが今やるべきことは4代目として 看板を掲げ自分の握れる精一杯の寿司を 握ることなんじゃないのかいそうやって 天国にいるお父さんを安心させてあげる ことよそれは他の誰にもできないあんた しかできないことなの よいつも親父にばっかり怒鳴られていた俺 だからこうして母さんに叱られたのは 初めてだった もしかすると母さんは母さんで親父が泣き 今自分しかできないことを考えたのかも しれないそんな言葉を受けてようやく俺は 再び店ののれを出し回転させ たただ世間の評価はなかなかに厳しいもの で店を開いても客なんてそうそう入ら なかっ た時々昔馴染みの人が顔を出したりして くれたが多くのとは親父の握った寿司が 食べたい人ばかりだっ ただから回転して1つきもする頃には店に かこ取りが泣いてい た1日開けていても数人しか客の来ない日 だってあったそれでも俺は腐ることなく 自分の技術を落とさないよう検算に励んで い たそんなある日もう夜にもなって店じまい するかというところで変わった客が来た おら中学生くらいの少年だろうかみは ボロボロで見るからに痩せ細った体をして い た秋もだいぶ深まっていた頃なのに随分 薄着で震える声でのれをしまおうとする俺 に話しかけてきたん だすみませんもしよければ何か食べさせて はもらえません

かはあお客さんですか構いません よいやお金は実は5円しか手元になくて客 なんかとは到底言えないんです が俺は初めなんだか気味が悪いから断ろう と思ったただその少年の姿がなんだか昔の 自分と重なって見えたんだ生きる楽しみ なんてなくいつだって心が 空っぽ親父の寿司を食うまでの俺が今目の 前に立っている気がしただから親父が俺を 救ってくれれたように今俺がこの少年を 救うことが当然のことのように思えた事情 は分からないしなぜこんな時間にこんな 場所にいるのかもわからないそんなことは 1つも聞かずに俺は少年を店内に案内した そして親父が俺に振る舞ってくれたように 俺のできる特上の握りをその少年に 振る舞ったえいいんですもっとただお米と 漬け物とかで十分ですいいんだよどうせ このまま置いといたってな腐らせちまう だけだからだからな気にせず食うといい お腹がいっぱいになるとな心もいっぱいに なるん だそうして俺が振る舞う寿司を少年はただ ガツガツと食べていたそして食べ終わった 時の少年の幸せそうな笑顔と満たされた声 でのごちそうさでしただけで俺は十分だっ た そして何度も頭を下げお礼を言う少年に俺 はいつか出世払いでよろしくなと言って 見送っ た母さんはそんな俺に対して何も言わず 優しい笑顔で見ていてくれ たただまあそんな風に変わった客の相手が できるくらいに暇な日々はそれ以降も続い た今まで通っていてくれていた常連客の足 も遠のき給与も満足に払えないか 他の職人たちも離れていった決して俺の 握る寿司の味が悪かったとは思わない根性 の際に言ってくれたように俺の寿司の技術 は親父にも引けを取らないものであった はずだそれでもそもそも親父の人柄に惹か れていた人たちにはそんなことは関係が ないし新規の客を呼び寄せることのできる ほどの引きの強さや宣伝力もなかっただ から大して客の来ないまま数日が経ち数 ヶ月が経ち気づけば1年が経ってい た俺は俺なりに自分のできることはこの1 年間してきたつもりだそれでもそれらが 実ることもなく正直これ以上店を続けて いくことは難しいくらいに経済的な厳しさ を見せていた母さんは親戚に借金してても なんて言ってくれたがそんなことをして まで看板を守ることはきっと親父は望ま ない気がした本当は俺も店を畳みたく なんてなかった3台脈々と受け継がれてき

たこの伝統を俺がぶち壊して しまうその悔しさや申し訳なさやりきれな さは言葉になんてできるものじゃなかった それでもそれ以外の選択肢がないから俺は 店を閉めることにした閉店まであと1週間 それでも変わらず客はこ 今日もこれで終わりだなんて思いながら のれをしまうため店の外に出るとどこかで 見覚えのある少年がいたそれは1年前に俺 が特上寿司を振る舞ったあの少年だっ た久しぶりに見るその少年は愛も変わらず 貧相なみで薄ら寒いこの時期には不合な薄 でそこに立っていたそして俺の前まで来て あの時と同じに行っ たすみません何か食べるものをいただけ ません か俺は驚いたただもう来週には店を畳もう という状況である今更寿司を振る舞うこと ためらう理由なんてないそれよりもむしろ その時の俺には自分の握る寿司を必要とし てくれる人がいることの方が嬉しかっ たその寿司が誰かを救うことができるそう 思った俺は答え たああもちろんだどうせ今日も5円しか 持ってないんだろう構わないよ店の中に 入んな前に食わせたよりももっと美味しく 握ってやる から少年は驚いたようだったが言われる まましずしずと店に入ってきた席について も別に俺は少年に事情なんて聞きやし なかった別にそんなものはうでもいいから だ目の前に腹と心をすかせている人がいる それだけで俺が寿司を握る理由には十分 だっ たそうして俺はその時の俺にできる最も 豪華なコースを披露し た前と同じようにその少年は俺の握る寿司 をそれは美味しそうに食べた俺はその時 むしろ閉店してしまう前にまたこの少年が 来たことを幸運に思 これで心置きなく包丁を置くことができる そんな風に考え た食べ終えた少年は前と同じ最高の顔でご ちそうさと言ってくれたただその後に続く 言葉は耳を疑うような内容だっ た今回もとても美味しいお寿司をご馳走し ていただき本当にありがとうございました そこで1つ相談なですが今回のここでの やり取りをネットの動画サイトにアップさ せてはいただけないでしょう か動画サイトアップする何の話かよく わからないなどういうことなんだ い実は僕動画サイトに動画をアップして 整形を立てているものなんです一応登録者 数は100万人いたりもしていわゆる

インフルエンサーってやつなん です俺はが何を言っているのか全然わから なかっ た動画サイト インフルエンサーなんだそれはといった 気持ちでただポカンとしていたただ彼は扉 の外に一声かけたすると彼よりも一回り くらい年上のスタッフが45人入ってきた のだそしてパソコンを1台取り出し自分の チャンネルの動画を俺に見せてくれ た少年が出演しているその動画はいろんな ものを取り扱っていたがメインとしては いろんなお店の実情やサービスについて 実際の映像を交えながら話すといったもの だったその再生数はどれも何10万回も 再生されていてこれだけのスタッフを抱え ていることからもこの少年がただ者では ないことに気がつき始め た態度のひどい店なんかをあげつらう動画 もあったりするんですが僕が主にやって いるのは隠れた名店のの紹介なんですこう してお金のない少年のふりをして定員に 何か恵んでもらえないかと聞くんです そしてその店の方がかけてくれた行為に ついて紹介するそんな感動系の動画が主 です今回の職人さんとのやり取りも撮影さ せていただきまし たそう言って少年は襟元や服のボタンなど いろんなところから小さなカメラを 取り出したもう俺は何がなんだかわから なってしまった全く状況が飲み込めなかっ たそんな俺に少年は続け た自分で言うのもなんなんですけど僕の チャンネルで紹介させてもらった店には 結構大きな反響があるんですよもちろん ひどい態度の店については決していい結果 にはなりませんがただ今回職人さんにして もらったことを知れば多くの人は感動する と思います僕も職人さんの言葉に心を 動かされたんですお腹がいっぱいになると 心もいっぱいになるあれとても素敵な言葉 ですよね今までいろんなお店に行って同じ ようなことをしてきましたがこのお店でし てもらったことが僕にとっては何より感動 的なものでしただからもしよければ今回の ここでの内容を動画サイトにアップさせて はもらえませんかもちろんそもそもの協力 代もいしますしおそらくこのお店にとって も損になることはないかと思いますえでも 1年前も君は同じようにうちに来て寿司を 食べて帰ったよななんで1年後になって 突然こんなこと に実はお恥ずかしい話なんですが1年前の あれは本当にお金がなくて食べるものを 恵んでもらえればと思ってきたんですただ

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にしたそしてささやかでもその少年に 恩返しするために動画のアップを心よく 許可したどうせ放っておいても来週には 畳むつもりだった店だ今更どんな悪評が仮 に広まったとで困ることなんてない だから少年には動画がアップされる日を 楽しみにしているよと告げ た来週には店を畳むつもりだったと おっしゃってましたよねそれを少しだけ 先延ばしにはしてもらえませんか300万 はそのために使ってもらえると助かります 我々もどの動画の編集よりも優先してこの お店の動画をアップするために努力をし ますだからそれまではどうかおを畳まず 待っていて くださいそう言ってスタッフと一緒に少年 は去っていったあっという間の出来事で まるで夢でも見ていたのかと思うようだっ たが俺の手元にはしっかり300万円が 握られていたそれを運転資金にしうちの店 はもう少しだけ看板を出すことになっ たすると1週間も経たないうちにどんどん 客が入るようになったどうやら少年の動画 がアップされた影響なのだろう若い子や 家族連れ老夫婦など老若の兄を問わず いろんなお客さんが1日中殺とし た予約のための電話はなり続けたし出て 行った職人にも頭を下げて帰ってきて もらい毎日てんてこまいで俺は寿司を握っ た来る客のほとんどが少年の食べたものと 同じコースを注文してきてネタがなくなっ てで客にりして帰ってもらうこともあった そんな風に少年の宣伝のおかげかうちの店 は潰れそうなところから再生し地元の名店 とまで言われるほどになっ た今俺はこうして店を続けられることを心 から嬉しく思うそれは決して自分だけの ためじゃない俺の台まで受け継がれてきた 看板を下ろすことなくこうして店の前に 掲げるができていることが親父にできる 最大の高校だと思えるからだそうして俺は 今日も人の腹と心を満たすために精一杯 寿司を握り続けて いる私は温かい家庭を知らないまま大人に なったそして大好きな俊平と結婚して幸せ な結婚生活が始まった彼の家族とも仲良く なりたいと思っていた私の気持ちは義母に よって踏みにられることになる義母が 起こした信じられない出来事とは私の名前 はわかな幼い頃に両親を病気でなくした私 は母方の祖父母に育てられたしかし祖父母 は私のことをよく思っていなかった私が 保育園の頃に先に父親が亡くなった祖父母 はもも親親のことが気に入らなかった みたいだから母親と結婚する時もかなり

反対していたというどうしても父親と結婚 したかった母親は祖父母の反対を押し切っ たそうだから母親の祖父母と私は出会った ことはなかった父親が亡くなり母親は かなり少水していたそんな母親に笑って もらおうと私は明るく振る舞ったのを少し だけだが覚えてい時間とともに母親が少し ずつ日常を取り戻した頃次は母親に病気が 見つかった入院して治療することになり その間に私を誰かに預けなくてはいけない 母親はずっと疎遠になっていた祖父母に頭 を下げて私の面倒を見てもらったという 祖父母にネチネチと文句を言われていた ようだが私をってもらえることになった そうだその後すぐに母親は遠くの病院に 入院することになったすぐに帰ってくる からと言っていたがそのまま会うことは なく祖父母もまさか母親が亡くなるとは 思っておらず私を育てようとも思ってい なかったようだしかし世間定を気にする 祖父母周りからはお孫さんと生活するしか ないわねもちろん娘の代わりに育てるん でしょと言われたらしく周りの目を気にし て私を引き取ることにしたらしい小学生に なっていた私は祖父母との生活に不安を 感じていた住んでいたアパートからコ民家 になり広くはなったが古くてなんだか怖い 何より今まで面識のなかった祖父母と ずっと暮らししていくことに漠然とした 不安を感じていたのだ祖父母は周りの人に は孫が可愛くてたまらない私たちが しっかり育てるなんて言っていたが実際は 私に冷たく接していた勉強が分からなくて も先生に聞きなさい話しかけてこないでと 言うだけ学校で使うものは買ってくれたが 他に欲しいがあってもそんなものを買うお 金はない自分で稼ぎなさいと言われていた のだ学校の先生が気にかけてくれたことも あったが私は本当のことを言えなかった なんだか恥ずかしくて惨めな気持ちを知ら れたくなかったから誰にも相談できず家に いるとずっと生苦しい日々でもここしか私 がいられる場所はないの悪さをいつも感じ 早く大人になりたいと思っていた高校生に なった私は家に帰らないことが増えた バイトを始めて自分でお金を稼げるように なった私は友達や彼氏の家を点々とする ようになっていた次第に学校にも行かなく なり似たような境遇の友人と仲を深めて いくたまに荷物を取りに帰った時にはここ まで育てたのににこの恩知ずがなどとのし られる育てたそう言われても素直に感謝 できない料理や洗濯掃除などの身の回りの ことを祖父母の分まで全部私がやらされて いた家にいさせてやっているんだからと私

に押し付けていただけではないか私は我慢 できなくなり祖父母の家を飛び出したそれ 以来祖父母は合っていない自分で生活して いくために私は必死で働いたそのバイト先 で知り合ったのが当時大学生で3歳年上の 俊平彼は爽やかな笑顔が魅力的でリーダー 的存在で誰からも慕われていた俊平は私の ことも気にかけてよく声をかけてくくれる ようになった私はネットカフェで一晩 過ごすこともよくあり心配してくれていた のだそんな彼に次第に惹かれていた私は 思い切って俊平に告白別に付き合えるなど と思っていなかったがこの思いを伝えずに はいられなかったしかし彼からわかな ちゃんのことをほっておけないと一緒に 住もうと提案してくれたのだきっとこの時 の春平は私への道場から同居提案してくれ たのだろう彼が私と同居してくれる理由は どうであれずっと一緒にいられることが 嬉しかったこうして俊平が1人暮らしをし ている部屋に転がり込んだ私彼が大学に 行っている間に家事をこなしご飯も準備し た祖父母の家でやらされていたことが役に 立ったのだそんな生活が数年続き私は ネイルサロンで正社員として働き出した 元々趣味として自分で燃料していたが資格 を取得して仕事としてやり出したのだ自分 が好きなことを仕事にできて爪が綺麗に なったお客さんが笑顔で帰っていくそれが 嬉しくて私は仕事に没頭した俊平も大学 卒業後企業に就職して仕事を頑張っている 私たちは恋人という すっかり夫婦のような関係になっていた私 が23歳の時俊平がプロポーズしてくれた 私は結婚しなくてもずっとこの関係が続け ばいいと思っていたが彼は私と家族になる 未来を描いてくれていたのだ私は思いがけ ない彼からのプロポーズに驚いたが嬉しく て涙が溢れたちなみに彼のの両親には同棲 していたことはずっと秘密にしていた事情 を説明してもきっと反対されるだろうから と彼が黙っていてくれたのだ結婚が決まり 初めて春平のご両親に挨拶に行った 私たち彼からは義両親はそこまで仲良くは ないらしく家族での楽しい思い出など ほとんどないと聞いていた私には両親がい ないことなどを伝えたが特に何か言われる こともなく結婚の了承をしてもらえたのだ こうして夫婦になった私たちだったが特に 生活は変わらず2人で平凡な毎日を過ごし た両親がいなかった私は特に結婚式をあげ たいと思わず彼も私の気持ちに寄り添って くれた新婚らしいことといえばフド ウェディングを撮影して新婚旅行に行った くらい2人とも海外にあまり興味がなかっ

たため新婚旅行は国内で済ませた温かい 家庭を知らない私は俊平とずっと仲良く 暮らしたいただそれだけだった結婚して から2年後義母から春平に頻繁に連絡が 入るようになった義父が単身不妊になった らしく家で1人になるのが寂しいのだと いう中があまり良くなくとも1人になると 寂しがる義母がなんだか可愛く感じた私 俊平は頻繁に来るメールや電話にめんど くさいと言いつつも返信しているようだっ た私はそんなやり取りを両親としたことが ないため彼のことが少し羨ましく感じる そしていつか義母とも本当の家族のような 中になりたいと思うようになっていたのだ ある日俊平が義母と3人で旅行に行こうと 提案してくれたというのも義母が寂しい からどこかに連れて行ってほしいとお ねだりしてきたらしい疑実家には春平の 長期休暇に合わせて年に1回ほど帰省する くらいだった私は義母の連絡先も知らない し義母と仲を深めるタイミングがなかった のだこれは私が義母と仲良くなれる チャンスではそう思った私は旅行のプラン を私が決めたいと提案した春平も楽しみに していると言ってくれた翌日仕事が定休日 だった私は旅行会社へと足を運ぶまだ50 代半ばで若々しい義母食べ歩きやテーマ パークへ行くのもいいだろうか義母の趣味 や好みをリサーチせずに勢いできてしまっ た私はどのプランにしようか迷った結局 店員さんおすめの豪華食事付きの温泉旅行 に決定喜んでくれたらいいのだ けど旅行当日私は緊張していた私たちが 住んでいるアパートから1時間ほど離れた ところに疑実家がある義母がこの旅行を 楽しんでくれるといいなそう思いながら 義母を車で迎えに行く運転は俊平がして くれ私は助手席に乗っていた疑実家に到着 すると大きなキャリーバッグを持った義母 が立っていてこちらを見ているそんな義母 に俊平が言っ たおいおい旅行って言っても1泊2日だぞ こんなに荷物いるもんか私も彼と同じこと を思っていたのだこれくらい普通よそれに この 今回の旅行のために慎重したんだから義母 も楽しみにしてくれているのだと感じ 嬉しくなった私俊平が荷物を積み込む間に 義母を後部座席へと案内するすると義母が 驚いた声でこう言った後部座席はあなた でしょ私は助手席に乗るからそう言うと さっさと助手席に乗り込んだ義母息子と ぶりに会えたのだから隣でたくさん話し たいのかと納得した車を出発させると旅館 に到着するまでずっと話し続けている

義母今日はわざわざ仕事を休んでくれたの まあね全部わかなが手配してくれたん だ週末の休日よりも平日の方が空いていた ことそれに料金もかなり安かったのだその ため私も俊平も有を利用していたもちろん このことはわざわざ義母には伝えていない ずっと義母と俊平だけが会話をしている ことを気にしてくれたのだろうか彼は私に 話題を振ってくれた夕飯ってどうだったっ けあえっと夕食は部屋食にしていてもう 会話に入るつもりもなく油断していて うまく返事ができなかった 旅館でご飯するなんて楽しみだ わ旅行を手配したことへのお礼の言葉でも 言ってもらえると期待してしまっていた私 でも義母は神部座席にいる私へ目を向ける ことも私へのお礼を口にすることもなかっ たそんな義母の態度に少しもやっとし ながらも義母は久しぶりの息子との会話を 楽しみたいのだと思うことにした結局移動 中義母が私に話しかけることはなく旅館に 到着旅館だからてっきり古臭い感じかと 思っていたけど素敵じゃない早速チェック インしましょうそう言うと俊平の手を取り フロントへと向かう義母の大きいキャリー バッグを運びながら2人の後ろをついて いく私ふとバッグに目をやると高級 ブランドのロゴが入っているではないか私 なら手を出さないレベルのブランド傷つけ ないように慎重に運んだチェックインの 手続きを完了しフロントで部屋の鍵を渡し てもらうすると義母が不思議そうに聞いて きたえ私独り部屋じゃないの1つしか渡さ れなかった鍵を見て驚く義母義父もいない し私は部屋しか取っていなかたのだ もちろん俊平もそれでいいと言ってくれて いた3人なのに2部屋取ったら寂しい だろう息子になめられしぶしぶ納得した 義母は部屋へと向かった部屋も綺麗で広く 窓からは海が見えて絶景義母も機嫌が戻っ たのか用意されていたお茶菓子を食べよう としている私も荷物を置いて休しようと 座ろうとしたすると義母がそれを静止し こんなことを言ってきたちょあなたはお茶 でも入れてちょうだい それくらい言われなくてもやりなさいよと 言わんばかりの言い方私は義母の口調に 圧倒されながらも言われた通りにした料理 が来るまで時間があるわよねこの部屋には 温泉はないの義母の発言に驚いた 私たち温泉旅行と聞いていた義母は部屋に 貸し切り風呂があると思っていたよう だこの部屋にはないんですでも大浴場には 温泉があります から私の言葉は義母の耳に届いていない

ようだ義母は私に目を向けず俊平に 話しかけているせっかく俊平と一緒に 入ろうと思っていたの に私は耳を疑った俊平は入るわけないだろ と笑っていたが私には義母が本気で言って いるように聞こえたのだ義母の発言に違和 感を抱きつつもずっと一緒に生活していた 家族ならこうした冗談を言い合えるのかと 少し羨ましくも思った結局義母は大浴場を 利用しなかった 他人と一緒にお風呂に入るのが苦手だと いう誰がどうやって使ったか分からないお 風呂など気持ち悪いというのだそれなら 旅行を計画する時に温泉は苦手とか言って くれたらよかったのにと思ってしまった 俊平はせっかくなら温泉に行くと言い義母 と2人きりになりたくなかった私は彼と 一緒に大浴場へと向かったなんかごめんな せっかく計画してくれたのに母さん文句 ばっかりだよ な一緒に暮らしていた時はそんな文句を 言う母親ではなかったと いうちょっとびっくりしたけどきっと お父さんが単身不妊して寂しいのかもね 私たちは義母が寂しさを埋めるために少し わがままになっているのだと思うことにし た部屋に戻ると海のさをふだに使った回線 料理が運ばれてきたお刺身が大好きな私は 大興奮ですぐに食べ始めるしかし義母は 料理が運ばれてくるたびに写真を撮って なかなか箸が進んでいないように見えた それを俊平が注意するそんなに写真撮ら なくてもよくないだって食べたらなくなっ ちゃうでしょせめて写真にはしておきたい じゃ ない角度や携帯の撮影モードも変え記念に 残そうとしているようだその気持ちは 嬉しいがそれにしても撮影しすぎではと 思っていた運ばれてくる料理はどれも おいしくデザートまで堪能し幸せな時間を 過ごすことができたしかし俊平は食べすぎ たのかお腹を壊してトイレにこってしまう その間私は義母と2人きりになってしまっ たのだ義母から私に話しかけてくることは なくテレビを見ながら時々携帯をいじって いる私は義母と2人きりになったからには 仲良くなるきっかけを作りたいと話題を 探したするとまさかの義母から話しかけ られたのだあなたそんな長い爪で料理 できる の話しかけはいるが私のことは見ていない 義母私はネイリストのため爪を伸ばしてい た爪が長い方が指が長く見えるしデザイン も可愛く見えるから だちゃんと毎日料理してますよ爪が長くて

もそれに慣れてしまえば何の問題もなかっ たのだしかし義母は気に入らない様子で顔 を歪めてこういうそんなで料理されたら 大金だらけで気持ち悪いわそんな料理を 毎日食べさせられている春平は かわいそう今思えばこの発言は私に対する 嫌味だったのだろうしかしこの意見は ネイルをしていない人にとってはよくある ことだっ たネイルをされていないとそう思う人も 多いですでも手袋を使ったりしっかり 手洗いをしていたりするので問題ないです よ私は平然と答えた義母はあらそうと 答えると再び黙ってしまったそして私は はっとしたもしかしてこれは私の手料理を 食べたいということではないだろうか今度 家にお招きするので是非私の料理を食べて みて ください小さい頃から料理をしていた私は 料理の腕前に自信があったのだしかしその タイミングで俊平がトイレから戻ってきた ため義母から返事をもらうことはなかっ たこうして私たちは寝ることにしかし義母 のいびきがうさすぎて全く眠れなかったの だ俊平は慣れていたのかぐっすり眠って いる義母の花をつまみたくなるくらいの 騒音結局私はほとんど眠るができなかった 翌朝朝食を済ませて周辺を観光するつもり だった 私たちしかし義母が急に予定が入り帰宅し たいのだという私たちは旅館前の海で マリンスポーツを体験する予約をしていた 母さんだけ先に帰れる荷物は後で家まで 運んでおくから義母は旅館の売店でお土産 でも買ったのだろうか生よりも荷物が増え ている体験を当日にキャンセルすると料金 を全額支払うことになっていたのだ せっかくなら体験して帰りたかったため彼 が提案してくれたしかし義母は納得して くれないそんな冷たいこと言わないで一緒 に家まで送ってよマリンスポーツなんて いつでもできるじゃないキャンセル量を 出すからという言葉は一切言わない義母 とにかく私たちも一緒に帰ろうの 一点張り瞬兵も繰り返し説得してくれて いるその時義母の携帯に電話が入った電話 を切った義母は少し不機嫌そうだった予定 がなくなったからマリンスポーツに行き ましょう私たちは義母の予定に振り回され ながらもマリンスポーツは楽しかったので 体験できて本当に良かったと思ったこうし て初めての義母との旅行は幕を閉じる私も 春平も楽しかったというよりも義母に 振り回されて疲れてしまっていたこの旅行 で義母とお腹を深めるのは難しいと思った

私この旅行以降義母から旅行に誘われたり 家に遊びに行きたいと言われたりしても 断るように義母のペースについていけない というのもあったが私が妊娠していること が分かったのが大きいそしてつりが始まり 毎日を過ごすだけで精一杯だった初めての 妊娠ということもあり私は安定期を過ぎる まで妊娠していることを義母に伝えなかっ たもうすぐ生まれるという頃に春平から 義母に妊娠報告をしてもらうしかし義母 からの返事はそっけないものだっ た無事に生まれるといいわねまた子供が 大きくなったらみんなで旅行にでも行き ましょう出産に立ち会いたいとか言われる よりいいのだが思っていたよりドライな 反応で少し寂しかった出産予定日や性別 さえ聞かれなかったくらいだ義母も暇で なくなったのか春平に連絡する回数もも 減っていたそれから数ヶ月後私は無事に 息子高尾を出産した小さくてとても可愛く てこの子を絶対に幸せにすると誓った私も 俊平も家族で過ごす時間をより一層大切に する旅行に行くレストランで食事をする 有園地や水族館に出かけるなど自分たちが 家族としたかったことを高尾と一緒に叶え ていった子育てで毎日があっという間に 過ぎ義母からの連絡もなく疑実家とは疎遠 になっていた 私たちある日義母から連絡があったかと 思えば久しぶりに旅行にでも行こうという 私は初めて義母と旅行した思い出が蘇り 少し嫌な気持ちになったもうすぐ5歳に なる高尾が義母とあったのは生れてすぐの 頃だけそれに単身不妊から一旦戻ってきて いる義父も旅行に参加するというあれから 時間も経っているし今回は義父もいるなら と私は旅行に行くことを決めた今回の旅行 では事前にいくつか約束をした宿泊先は 義母が決めること部屋も2つに分けること 宿泊台などはそれぞれ自己普段とすること 旅館以外は別行動をすることなど前回の 旅行のように私たちが決めて散々文句 ばかりを言われるのはもう嫌だった義母 から送られてきた宿泊先はなんと温泉が 有名な旅館義母曰くもう何度も宿泊して いるくらいお気に入りだという私は義母が 温泉は嫌いだと言っていたことを思い出し たが時が経って平気になったのかと気にし ないことにした旅行当日私たちは旅館に 現地集合した旅館に到着するまでに高尾の 行きたかったテーマパークを堪能した 私たち高尾の喜ぶ笑顔が見られて私も春平 も嬉しかった旅館に到着するとすでに義 両親が待っていた久しぶりに見た義母は 一瞬誰か分からないくらい変貌している

ブランドのロゴが入ったワンピースとバグ に転倒しそうなほどヒールの高いパンプス では私よりも長いのではないかという くらいの長さでギラギラとしたネイルをし ているのだ母さん見ない間にかなり趣味が 変わったね俊平も私と同じことを思ってい たようだ義父も彼の言葉に深く頷いている あらたおちゃん大きくなったわね今日は 一緒に美味しいご飯を食べ ましょう高は恥ずかしいのもあったが義母 の強い香水の匂いが嫌だったのだろう鼻を つまみながら私の後ろに隠れてしまった チェックインをしてから夕食の時間まで 私たちはそれぞれの部屋でゆっくりと 過ごした今日は部屋も別々だし義母の いびきに悩まされることもない義両親と 時間を一緒に過ごすのは夕飯の時だけだ私 はるんるんした気持ちで旅行を楽しんでい た私たちの部屋で一緒に食事をすることに しており夕食の時間に合わせて義両親は 私たちの部屋へとやってきたここの料理は とっても美味しいのよ義母はずっとご機嫌 だ私はお酒が得意でないので飲まなかった が3人はお酒を堪能していた高もジュース が飲めてご機嫌でそんな姿を見ているのが 楽しかった義父は食事を終えるともう 眠たくなったと部屋に戻り俊平は飲みすぎ たのかまたトイレにこもっている高尾も 遊びつかれたのかそのまま眠ってしまった そのせいで私と義母はまた2人だけの 気まずいに包まれたしばらくの無言の後 義母が口を 開く今日の旅行は私が計画したおかげで 楽しかったでしょう初めて旅行に連れてき てもらった時なんて悲惨だった もの私はやはり義母によく思われていない そう確信した瞬間だったお母さんが温泉に 入れるようになっていて驚きました 私は平然とした態度で返事をするすると ここで義母が驚くべきことを言ったあら私 はずっと温泉が好きよあなたが計画した プランが気に食わなくて言ってやったの あの時のあなたの顔たらおかしくて笑い そうだったの よギボは相当お酒を飲んではいたが酔って いる感じはしないこれはお酒の勢いで冗談 とかではなくきっと本心 だろう私のことが気に食わないなら旅行 なんて誘っていただかなくても結構 です私は義母に部屋へ帰れと言わんばかり に高を布団に連れて行き部屋を片付け始め た私だって誘いたくないわよ俊平と旅行に 行ければ十分なのにあんたたちが来ないと いかないって言うんだから私はそんなこと 俊平から聞いたことはなかった彼の気持ち

を知って私は気持ちが少し穏やかに なるそのタイミングでトイレから出てきた 春平義母との会話は聞こえていなかった ようだ太東に入った春平の前では話すこと もなくなったのか義母もやっと部屋に戻っ た私は義母に苛立ちながらも俊平と高の顔 を見ていると気持ちが少し落ち着いた 翌日私たちは観光などの予定を入れている が義父母は家に帰るというチェックアウト が同じ時間になり俊平と義父が会計をして くれている間私と高尾義母はロビーで待っ ていたたまにしか旅行に行かないんだから 旅行台くらい出したらどうなのかしらそれ が親こうってもん でしょう義母は独り言のように私に文句を 言って そのセリフは私じゃなく息子に言えばいい のにと思いながら聞き流す私無視されて いるのが気に食わない義母はこう続けた 宿泊台も払わない礼儀知らずの嫁はいら ないわ脳なしは1人で帰れすると義母の 後ろから声が聞こえた脳なしはあんた だろ義母は驚きながら後ろを振り返る どうしてあんたがここ にそこにはこの旅館の主人が立っていたの だなんと義母の元同僚だという義母が 初めて就職した会社の先輩で指導がかり だったとか久しぶりだな相変わらず性格が 悪いこと義母は仕事でミスばかりしていた らしいそれを反省するどころかミスを他人 のせいにしたり隠蔽しようとしたりしてい たのだとか結局1年も仕事は続かず退職 することになった らしい私のことよく覚えてたわねわざわざ 声をかけてくるなんて何のよを義母は旅館 の主人を睨んでいる彼は最初誰だか分から なかったが私に対する言動で義母だと 気づいたというそれに君のことはももっと 前から気になっていたんだよ旅館の主人は 義母を見つめる私のことが気になるなら 初めからそう言えばいいのよ義母は思わず 顔をあめただが旅館の主人はそんな義母を 無視してそれどころか冷たい目を向けて いるそしてこう言い放ったさてカの中身を 見せてもらおう か彼は義のいる大きなキャリーバッグを 指さす義母は動揺しているようだ私も意味 がわから ないおい何をしている会計を終えた義父と 俊平が 駆け寄るおばあちゃんそのバークにお部屋 のものをたくさん入れてた よ高尾の発言を受け義父に問い詰められた 義母は観念したのかバッグを開けたすると バスタオルやドライヤースリッパ食器脱所

に置いてあった化粧水やブラシなどが 詰め込まれているなんと義母は旅館の備品 を勝手に持ち帰ろうとしていたのだあら 間違えて入れちゃってたみたい ね慌ててバーグから荷物を出そうとする 義母これが初めてじゃない だろう義母は宿泊するたびに同じことをし ているという見かねた旅館の主人は義母が 犯人であることを特定し捕まえるチャンス を伺っていたのだ私たちはまさかの義母の 行動をただ呆然と見守るしかなかった義母 は謝罪するどころかなんと自分ではなく 高尾が勝手に入れたと言い出す始末さすが に頭に来た私は義母にバレないように こっそり警察に電話をしたすぐに警察が 到着し義母は警察署へと連行義父は呆れた 表情春平は動揺してしまい観光どころでは なくなったこうして私たちは仕方なく家に 帰ることに家ではこの話について誰も 触れようとしなかったそれから2週間後夜 遅に義母から携帯に連絡があっ た私たちは寝室でスピーカーモードにして から電話に出るどうやら義母は警察に通報 したのが私だと分かったようで大文句を ぶつけてきたあんたのせいで飛んだ目に あったのよ義母は旅館から訴えられ賠償金 を支払ったのだというもちろん窃盗祭に 該当するため罰金も払ったようださらに 警察署からの帰り道義母はよけて転倒し足 をを骨折したらしいあんな高いヒールを 履いているからだそれは一切関係ないのに それさえも私たちのせいだという 言いがかりもいいところだみが派手になり 金遣いも荒くさらに慣れないSNSも使い 出していたという義母が浮気しているので はないかと怪しんだ義父義母は浮気がばれ ないように家族サービスをしてごまかそう としたそうだなのに浮気相手と宿泊した 旅館を選ぶなんてまけ すぎる何度もあの旅館に行っていたそうだ が一緒に宿泊していたのは浮気相手だった 浮気相手も何人かいるとか浪費してお金が 足りなくなった義母は宿泊するたびに旅館 の備品を持ち帰ってはフリマサイトで転売 し売上を得ていたらしい今回の騒動が きっかけで義父にに浮気もバレてさらに 多額の借金をしていたのが決め手で義父 から離婚を言い渡されたという全部義母の 自業自得だお母さんの悪業に高を利用する なんて許せないもう私たちに関わらないで 私は電話を切ったそれ以来義母とは一切 連絡を取っていない春平も私たちに義母 からの危害が及ばないようにと引っ越しを て携帯も新しくしてくれた義父から聞いた 話では家を追い出された義母は浮気相手を

頼りに家を点々としているらしい借金をし ている女など相手に従う人はおらず浮気 相手からも冷たくされているとか義父に やり直したいと泣きついたそうだが 門前払いしたそうだ自分が借りたお金 くらいは自分の力でどうにかしてもらい たいものだ 一方で私たちはもうすぐ家族が増える予定 家族みんなで2人目の赤ちゃんの誕生を 心待ちにしているところ義母とは仲良く なることはできなかったが俊平という 愛する人に出会うことができ宝物が2人に なろうとしているこれからも家族みんなで ずっと仲良く暮らすことが私の夢 だ どうかどうか彼女を救って ほしい手術代の上の彼女はその目を大きく 見開いていた俺が必ず助けるよ彼女は絶対 に生かす俺はそう誓う過去と決別しメスを 握ったのだ手術後彼女は慌てて食堂に 駆け込んでき たああなたはあなたは一体何者なんですか 手術にいきなり食堂の店員さんじゃなかっ たんですか食堂店員だよ元医者のねこの ことがきっかけで止まっていた俺の人生が 再び動き出すことになるとは思いもし なかっ た俺の名前は岡本直人病院の食堂で働いて いる32歳だ この年でフリーターというわけではないが 正社員でもないので似たようなものだろう そこそこ名のある大きな病院の中の食堂な ので毎日それなりに忙しかった客層は外来 の患者や付き添いその見舞いに訪れた人が 多い食堂に併設された売店には入院患者も いるけれど早朝や夜間の閉店時間間際に なると金の交代時間ということもあるの だろう白衣の意思や看護師ばかりになる うっすらと熊を浮かべて疲れた表情や 慌ただしく食感を手に取り食事を済ませ 小走にかけていく背中中には食事の途中で 呼び出され謝りながら食べかけの食器を 返していくものもいるそんな姿を見ると つい心の中でご苦労様と手を合わせて しまう今日もバタバタと走り去っていく 意志を1人見送って先ほど聞こえた救急車 のサイレンが気になった今の医師は確か 今夜の救急の担当医師だったかな運ばれた 人無事だといいけどそう小さくつぶやき ながらも仕事に戻る今の俺にできることは 何もないこれが俺の今の日常だった食堂の 客は頻繁に訪れるほど定期的に通院して いる患者であることが多かったそんな中で 売店の方にここ数ヶ月ほどよく見かける顔 があるいらっしゃいませ店内で品出しをし

ていた俺ににっこり笑いながら近づいてき たのは1人の若い女性だった彼女の名前は 傘のマリア現役の女子高生だ今日は何かお すめあります 今日か今日は新作のおやつがあったよ本当 ですか見てこようお互いこんな風に10歳 以上も年下の彼女と気軽に会話するように なったのは偶然の出会いだったある日の 休憩時間あまりにいい天気だったので昼食 を外で食べようと思い立ち病院の近くに ある公園を訪れた時のことだ公園に設け られたテーブルがある休憩スペース穏やか な日差しの中ある一角だけどんよりとした 空気を漂わせている場所があったのだ こんないい天気なのにもったいない大丈夫 ですかお嬢さん近づいて声をかけるとそに 座っていた若い女性が軽減そうにこちらを 見たそれはそうだろうこんなおじさんから いきなり声をかけられたんだから ああ怪しいものじゃないんだただ君が下 ばかり向いているものだから気になって ほらというように空を 指さす今日はこんなにもいい天気なのに空 を見ないなんてもったいない俺はそう言っ て雲1つない空を見上げたそれはあの時 アメリカで見た空に似ていて少しだけ胸が ちくりといたんだあ あのおずおずと声をかけられ視線を空から 女性へ 戻すで何かあったのかい再度俺が尋ねると 彼女は視線を左右に彷徨せてからぽつりと つぶやくように言っ た高校の課題が終わらなく て課題そうか彼女は高校生かそれは深刻だ なよかったあまりにも落ち込んでいるから もっと大変なことなのかと構えていた俺は ほっと胸を撫で下ろしたそんな俺の空気が 伝わったのか女子高校生がきっと俺を 睨みつけたバカにして ますしてないしてない学生も大変だなと 思っただけさ俺の言葉にとりあえず納得し たようで睨むのはやめてくれた しかしそれはおじさん何もしてやれない なあ俺はそう言ってごそごそと持っていた ビニール袋を漁るじゃあせめてこれを君に あげようテーブルに置かれたものを見て 女子高校生は目を丸くし た プリンそう俺が袋から取り出したのは昼飯 の後に食べようと思って持ってきていた プリンだった そうプリン疲れた体と頭には頭分が必要だ からな俺も若い頃はよく食べたな特に集中 した後は無償に当分が欲しくなったんだよ なえそんな悪いですいいよいいよこんな

ことしか力になれなくてすまないねででは 遠慮なくいただきますありがとうござい ますそう言って女子高校はようやく笑顔を 見せてくれたのだったそんな彼女との再会 は意外と早く訪れることになったいつもの ように食堂で仕事をしているとあの えかけられた声に改めて客の顔を見ると あの時の女子高校生だったやっぱりここで 働いていたんです ね君 ははありがとうございました課題無事 終わりましたそういった彼女の手にはあの 時のプリンがあったああそれはえごやあっ たんで次の課題もこれ食べて頑張りますと ニコリと笑った彼女はとても元気そうだっ ただから俺は彼女はきっと誰かのお見舞い に来たんだろうと軽く考えていたそれから 彼女は月に数回食堂ではなく併設の売店の 方を訪れるようになった何度も顔を 合わせるうちにすっかり打ち解けて俺たち は互いに名前で呼ぶようになっていったの だああ私のことマリアって呼んでください ね岡本さんまるでひまわりのように明るい 彼女が来店すると俺も自然に笑顔になった しかしこれだけ頻繁に食堂に来るという ことは彼女は定期的に通院していると見た 方が良さそうだぱっと見怪我をしている ようでもないからきっと何か病気にかかっ ているのだと思う重い病気なんだろうか いや今俺がそれを知ったところでどう しようもない今の俺はただの店員なんだ俺 にできることは彼女の話相手になってやる くらいだそう俺はもう2度とあんな思いは したくないんだ俺は待たしても休憩時間に 訪れた公園であの女子高校生マリアを 見かけたしかし今日のマリアはあの時以上 に暗く沈んでいたまた学校の課題かいや とてもそんな雰囲気には見えないな俺は声 をかけるためにマリアに近づこうとした足 を思わず止めた 小刻みに震える細い背中こらえようとして こらえきれず漏れるおえ泣いているのか俺 が声をかけるか迷っているうちにマリアが 先にこちらに気がつき振り向い た岡本さんマリアは涙に濡れた目元を ごまかすように こする何かあったの かなんでもないですなんでもないようには と見えないマリアの青白い顔に嫌な予感が したその表情には覚えがあったいつかの 病室その窓の外には俺の無力さをあうかの ような住んだ青空が広がっていた俺で よければ話くらいはほっといてください あなたには私の気持ちなんて分かるはず ないん

ですの言葉を遮るように突然マリアが叫ん だ私子供の頃からずっと先生になりたかっ たそのために新学校に入学して今まで ずっと頑張ってきたんです体調も落ち着い てきたからきっと良くなってきてるんだと 思っていたのにやはりそうかと当たって 欲しくない自分の感が当たったことを 知る今更嫁宣告されても私どうしたらいい か続けて発せられた絞り出すような彼女の 声に俺は息を飲んだ言葉に詰まる俺を見て マリアは力なく微笑むと背を向けて 歩き去るいったその場に残された俺はただ 立ち尽くすことしかできなかったのだった あの日からマリアは食堂にも売店にも姿を 見せなくなったただ俺に会うのが気まずい だけなのかそれともぼんやりと売店側の レジに立つ俺の前にこりと1本の缶 コーヒーが置かれたあすみませんこちらお 手渡しでよろしいでしょうか俺は慌てて客 に謝り商品を生産し手渡そうとしたそれは 君に えその穏やかな声には聞き覚えがあった 先生改めて客の顔を見るとそこにいたのは かつての恩師である中村先生だったの だいや元気そうだね岡本君少し話せるかい はい俺は少し休憩を取らせてもらい中村 先生と一緒に店を出た中村先生がお元気 そうで良かったですそれは私のセリフだよ あれから君がどうしているのかずっと気に なっていたんだよ中村先生は俺を病院の 大雪室の1つに案内した向い合って腰を 下ろすと中村先生は懐かしそうに目を細め たこうやって君とゆっくり話をするのは君 がまだ大学生の頃以来かなそうですね中村 先生は今こちらにああここは元教え後の 病院でねどうして元お願いされてここで 下界をしているん だ中村先生は元ハーバード大学医学部の 教授であり俺が在学中にとてもお世話に なった先生だ卒業後も俺によくしてくれて アメリカからドイツに渡ることを悩んでい た俺の背中を押してくれたの中村先生だっ た君と急に連絡が取れなくなって心配して いたんだ よ俺はそんな中村先生に申し訳なく思い ながらもあの時は何も考えられず誰とも 関わり合いたくなくて俺は逃げるように アメリカから帰国したのだっ たご心配をおかけしまし た俺と話しながらニコニコと笑を浮かべ てい中村先生が不に真剣なざしを俺に向け たどうだこれも何かの縁だろう君もよく 知っている傘のマリアさんは私の担当患者 なんだ え彼女から話を聞いてね名前や特徴が君と

似ていたものだからもしやと思ったんだ 本当にここに君がいてくれてよかっ たどういうことです か公園でのマリアの様子が頭をよぎる最後 に見たマリアは嫁宣告を受け何もかもに 絶望してい た彼女には君がアメリカで成功させたあの 手術が必要なん だ中村先生の言葉に一瞬目の前が暗くなっ た俺はあの手術をさせたせいで昔の出来事 がノりに蘇る気がつくと奥歯を噛みしめ拳 を握ってい たあの手術の成功例はまだ少ない国内では ほぼゼロだと言っていいだろうしかし今私 の目の前には君がいるどうかどうか彼女を 救って ほしい俺は中村先生の言葉をの中で反した 目の前に救える命があるそれをただ自分の わがままで可能性までも潰していいの だろうかいいわけがない第一あの時 きっぱり医療から離れることだってできた はずなのに未練たらしくこんなところで 食堂の店員をやっているのだから全く 情けない大人だ俺の脳裏に柔らかく微笑む マリアと小さく震えて涙するマリアが 浮かぶやっぱり彼女は笑ってる方が似合う なひまわりみたいにわかりました俺がそう 返事をすると中村先生は力強く頷き深く頭 を下げたそして手術当日俺は久しぶりの 緊張感に包まれていた担当医である中村 先生と共に俺は失いとして手術室に入る 手術台の上のマリアがこちらに視線を 向ける手を着た俺に気づいたその目を 大きく見開いたマリアの口がどうしてと 動いたように見えたしかし麻酔がかけられ 手術は開始されたのだった俺が必ず助ける よ彼女は絶対に生かす俺は誓いメスを握っ たのだ結論から言うと手術は無事成功した 術後の経過も順調でマリアは退院すること が決まったマリアが退院する 日直人さんあなたは一体何者なんですか いきなり天内に駆け込んできたマリアを 制して俺は場所を変えた院内の待ち合い スペースで改めて話を再開する 今日隊員だっってなおめでとう ありがとうございますってそうじゃなくて ですね直人さんは食堂の店員さんじゃ なかったんですか首をかげるマリアに俺は 微笑む店員だよ元医者のねじっと俺を見る マリアの真剣なマナざしに耐えかねて俺は 医者を辞めるきっかけとなった出来事を 話した アメリカの大学を卒業した後君の担当医 だった中村先生の勧めもあってドイツに 渡ったんだそしてアメリカに戻って数年後

今回のマリアと同じ省令の手術を成功させ た成功例の少ない難しい手術を成功させた 失医がまだ若い日本人だということで俺は 一躍時の人となってしまっ たに の声が多く上がったが同様にいやそれ以上 の妬みや日を囁かれるようにもなったのだ それが自分に向いているだけならまだ 良かったしかしそれは何の罪もない患者に まで呼んでしまったのだった俺が担当して いたある患者のカルテが改ざんされていた んだそして俺は診断を謝ったもちろんこの 悪質な嫌がらせ はすぐに発覚し厳しく罰せられたしかし 患者の容大を悪化させてしまった事実は 変わらない俺は医者としての自信を失って しまったの さ俺は俯いて自重した当時のことを 思い出す命が関係ないような場所での 揉め事なら構わない俺はどれだけ傷つけ られてもそれでもいいでも患者の命は 取り戻すことができないものでそんな場所 で俺は患者の命を危険にさらしたん だでもそれは直人さんのせい じゃ自重する俺を庇うようにマリアが言う しかし俺は首を横に振ったでもな最終的に 診断を下したのは俺だカルテだけに頼らず もう少し患者を気にかけていれば忙しさに かけデータのみを重視した結果だった俺は 俺が許せなかったなのに結局俺は完全に 医療の現場から遠ざかることができず昔の ツでこの病院の食堂で働いていたという わけだそんなことよりマリア隊員の準備は 済んだのかまだですならこんなおじさんに 構ってないでほらほらと俺は席を立ち 追い立てるようにマリアの背中を軽く 押し出した何か言いたげにこちらを見る マリアに笑顔で手を振る君のおかげで少し 自信がついたよこんな俺でもまだやれる ことがあるんだなって ありがとうと言った俺を見てマリアが はにかんだように笑ったやっぱり彼女は 笑っていた方がいい君はもう何でも自由に やりたいことをやっていいんだよこの笑顔 を見れなくなるのは少し寂しいが彼女が 元気ならそれでいいもう会うこともない だろうマリアの背中を見送りながら俺は1 つ息を吐い たそれからしばらくして俺は働いていた 食堂を辞めたマリアと出会いまた手術を 担当したことで改めて自分の目指すものが 何か分かった気がしたのだハーバード代 医学部を卒業しドイに渡り数年最新の医学 を実地で学んだその腕の努力は無駄では ない俺は偉くなるために医者になったわけ

じゃない人を助けるためになったんだどれ だけ名のある医者かどうかなんてそんな もの病気で苦しむ患者には全く関係ない彼 らはただ救いの手を待っているのだから俺 は精神誠意患者に向き合いたいもうカルテ だけに頼るのではなく1人1人の目の前に いる患者を見る患者と向き合い俺の目で きちんと見るデータの上の人間ではなく目 の前の1人の人間としてそう思った俺は 再び医療の現場に戻る決意をしたの だ数年後俺はとある診療所にいたそこは 田舎の小さな町のたった1つの病院だった 俺はここで地域に密着した患者1人1人に 寄り添ったきめ細かい医療を目指していた のだ診療所の休みに1人窓から空を眺め ぼんやりしていると突然声をかけられ た こんにちは こんにちは挨拶を返して戻した視線の先に いたのは1人の若い 女性どうしてここが目の前に立っていたの はあの時病院で見送ったマリアだったの だ中村先生から聞いたんですというマリア はニと 笑う今度この町の学校に不妊してきました これからよろしくお願いし ます先生になるというマリアの夢それを 余名宣告までされていた難病乗り越え ついに実現させたのだ彼女はひまわりの ように 笑うおめでとう あの頃より少し大人になったマリアが俺に は眩しかったマリアとの出会いがあった からこそ今の自分があるそう言いきれる そんなマリアとの再会に俺の脈は少し早く なっているこの気持ちにはいくつになって も嘘はつけ ないあのこんなおじさんだけどもしよかっ たら気づけば俺はマリアに向かってそう口 にしていた俺にやり直すきっかけをくれた 彼女にそばにいてほしいと心から思った からだ彼女の笑顔を見れば俺は自分が 目指すものを見失わないでいられると確信 していたのだもちろんそれだけではない いややっぱり俺じゃあおじさんすぎるよな 何でもない関係ないですよそれよりも私は 続きが聞きたい です直とさんとマリアは俺の顔をじっと 見る俺はああと言いながら頭をポリポリと 書い たこれからはずっと俺のそばにいてくれ ないだろうかか前に進めずにいた俺を変え てくれた彼女を俺自身で守りたいと思った から俺の告白にマリアの表情が微笑みから 喜びへと変わって

いく はいこれからの俺たちがどうなっていくか はわからない周囲から見たらなかなか年の さのある恋だでもその時彼女が浮かべた 笑顔は今まで見た彼女の笑顔の中で1番 だった俺はその笑顔を一生忘れず守って いきたいと思う そして あなたパパ おお俺とマリアが結婚してもう4年になる 今日は土曜日だ診療所は土曜日お昼までが 診療時間だったそれが終わるのを待って 昼ご飯を一緒に食べようと言って2人でで 診療所まで来てくれたのだ俺はマリアと ガクトと一緒にマリアの作ってくれた サンドイッチを ほる今日はプリンを作ってきたのそう言っ てマリアがほれバッグの中からプリンを 取り出す手作りプリン だねえ直人さん覚えてる私たちが出会った 時直人さんがプリンをくれたのああ 懐かしい なあの時私売店で売られていた食堂の 手作りプリンにはまったな今ではプリンは 私の好物だものねそうだなあの日を 思い出しながら俺は一口プリンを 食べるおいしいな口の中にふわっと卵の味 が広がる目の前には ひまわり畑そして愛する妻と息子なんて 幸せなのだろうと幸せを噛みしめる俺は これからも患者さん1人1人に向き合い ながら愛する人たちを守り続けていきたい そしてその患者さんも誰かにとっての 愛する人なのだみんなの愛する人を1人で も多く救うそうすることで俺は社会に 恩返しをしていこうそう強く思った [音楽] 俺は治山裕太郎43歳今日は高校の同窓会 に来ていたゆう太郎よくもまあ涼しく顔を 出せたもん ね高校卒業してから25年後の同窓会 かつての友人だったせがあけるような表情 を俺に見せる女の友情は成立するかなんて 話をしていたあの頃俺たちの友情は永遠に 続くと信じて疑わなかった互いの夢を語り 目標に向かって走っていたそれが俺の一言 により友情に日々が入り壊れてしまったの だっ た高校1年生の入学式初日俺山裕太郎と 彼女早川なはご重音で席に着いた際に隣の 並びだったことから喋るようになり友達に なった俺たちは気があったので急接近し1 ヶ月後にはお前ら付き合っているのかと 言われるくらいに親しくなっていたそれは 夏休みが始まる直前のことだった期末

テストが終わり全てのテストが返却される と担任の先生から1枚の紙がクラスメイト 全員に配られ た君たちは1年生で受験はまだまだ先の ことだと思っているかもしれないが今から 準備をするかしないかでこれからの未来が かかっているよく考えて進路を決めて ほしい教室に緊張が走る俺たちが通って いるのは県内屈しの進学校で一流大学の 合格率が高い高校入学後初めての夏休みを 間近に控えていても浮かれている場合じゃ ないの だねえゆ太郎はもう進路希望表出したせな に聞かれ俺は逆に彼女に 尋ねるせなは私は国立代の医学部 死亡セナの答えにマジでと大声で叫んで しまいクラスの視線が俺にに集中する 気まずくなって体を縮め今度は小さい声で 切なに 返す俺もだぞすると今度はせが本当にと 大声で叫び迷惑そうな顔が一斉に切なに 向けられた2人で肩をすめて 苦笑いこんなところも気が合うってとこか うちのお母さんが看護師で大変そうなのは そばで見てて分かっているんだけど同時に こんな風に自分が誇れる仕事につきたいっ て思うようになったんだよね切なの言葉に 頷く俺は医者を目指しているんだ父さんが 癌になって長期入院してたことがあったん だけど投票して克服したんだその時の先生 の姿を見て俺も人の命を救えるようになり たいって思うようになっただ2人して顔を 見合わせる私たち同じ病院で看護師と医師 として働けたらいいね俺も同じこと言おう としてたどちらからともなくええと笑う 一緒に同じ国立代目指して夢を叶えようよ あああれから25年が経ちせなは下げんだ 目で俺を見下ろしている 私は国立代の医学部に入学して看護学先行 して看護師の資格とって卒業してからは バリバリ看護師として働いているわさすが せなだ患者にも意思にも頼られる看護師と してキビキビと働いている姿が目に浮かぶ 夢を叶えてすごいな俺は俺の言葉をせなが 強い調子でさえぎる医学部受験を辞退して 夢を諦めたあなたのその後に興味なんか ない不愉快だから帰ってよ同じ国立代の 医学部を受験しようと約束し合ったなのに あの日ごめんせな俺国立代の医学部は受け られない大学に行かない医者になる夢 諦める俺はその約束をを裏切ったのだ 言い訳なんて今更できないああすまないな せが元気そうで良かった力なく微笑み俺は 会場後にしたこの日俺は6時20分発と いう早朝の長崎行きフライトに乗るため

羽田空港にいた国内線の出発入り口から手 荷物検査を経てゲートへたどり着く座る 場所をして視線をさわせそこにせがいるの に気づいた膝の上にノートパソコンを置き 右側のテーブルにはたくさんの資料が重ね られている俺が声をかけたところで嫌な顔 をされづかれるのは間違いない触らぬ神に 祟りなし俺は彼女の視界に入らない後ろ側 の席に座り登場時間を待つことにした登場 のが始まるせが列に並ぶのを待ってから席 を立ったこれで飛行機の中で顔を合わせる ことはないだろうそう思っていたのにえ ゆうたろまたこんなところで顔を合わせる なんて 最悪なんと俺はせなと偶然にも隣同士の席 になってしまってい たすみませんすぐさませがが客室乗務員に 呼びかける席を移動したいんですけどお 願いできますか客室乗務員が申し訳なさ そうに 答える恐れいりますが本日は満席便となっ ておりまして申し訳ございませんせは不満 げな顔を見せながらもわかりました席に 座り直し たあなたのことはいないものだと思って いるから絶対に話しかけないでね今のセナ には何を言っても聞く耳を持たないだろう セナにはもう一度再開する機会があるから そこでなら面と向かって話すことができる かもしれない予定時刻通りに飛行機が離陸 する飛行機が安定体制に入りシートベルト 着用ボタンが消えるとせは早速ノート パソコンを取り出した俺もノートパソコン を取り出し資料をチェックするもちろん 2人の間に会話なんてないこのまま 重苦しい時間を過ごさないといけないの だろうかそう考えていると突然機内の空気 が一変した後ろの席がざわざわし始め客室 乗務員たちがバタバタと慌ただしく移動 する何があったんだろうと神部座席へ視線 を向けると顔面 の客室乗務員が乗客に呼びかけながら歩い てき たお医者様はいませんかお客様の中にお 医者様はいらっしゃいませんかせが パソコンから顔を分けた何誰か倒れたの 歩いてくる客室乗務員に不安気なまなざし を向ける仕事柄気になるのだろう客室乗務 員が近づくと俺はパと立ち上がったはい すぐに行きます えあ然と俺を見つめるセナの腕を取った 頼むセナも来てくれないか客室乗務員の 案内で後ろへ向かうと最高部座席に座る 女性が苦しんでいる彼女のおさは大きく今 にも赤ちゃんが生まれそうな状態だったお

医者様がいらっしゃいましたその言葉を 聞き妊婦の苦しそうに歪んだ顔に一瞬だけ アンドの表情が 浮かぶせだけあどうかお願いします油汗を 滲ませながら訴える彼女に力強く頷く anJALでは妊娠36週以降の妊婦は 登場の際にの提出が義務付けられており 出産整備から1週間以内の場合は一思の 同伴が条件となる彼女の合は妊娠35週で 予定日まで日があるためその必要はなかっ た小さな男の子を連れて里さんのため飛行 機に乗っていたという実は彼女は飛行機に 乗る前にすでにじじとした痛みを感じてい たというだがまだ出産予定日までには時間 があることから全陣痛だろうと思いた全 陣痛とは本格的な陣痛の全段階に起こる不 規則なお腹の張と痛みのことだところが 飛行機が安定体制に入ったところで撥水 陣痛が始まったため慌てて客室乗務員を 呼び出したという計算婦であることから すでに赤ちゃんが生まれてしまうかもしれ ない他の乗客に彼女を見られないよう客室 乗務に目隠しを作ってもらい出産に必要な 道具を揃えてもらう間切なと共に手を洗い に 行く私出産の解除なんてできないわよ出産 の現場に立ち合ったのなんて何年も前だし 経験もないし弱音を吐く切なに 言い渡す俺だって参加の意思じゃないし 出産の経験ももちろんないぞでもここに いるあのを救えるのは俺たちしかいない やるしかないんだせが俺の顔をじっと 見つめ覚悟を決めた表情で見つめ かすそうねやるしかないわね急いで妊婦の 元へ戻るときもうとしているので慌てて 落ち着かせせが彼女の手を握る宮口を確認 すると全開に近い着陸まであと何分ですか 客室乗務員に尋ねるとあと30分だとの ことだった飛行機で産ませるしかない 大丈夫ですよあなたの赤ちゃんは絶対に 無事に生まれてきますからね絶対に大丈夫 落ち着いて呼吸してせが妊婦を励ます横で 彼女の息子が心配そうに 見守るママ 頑張れ20分後赤ちゃんの頭が見えてきた お湯の用意をお願いします赤ちゃんが 生まれるのはもう間近だ飛行機は着陸体制 には入らず上空を回っている飛行機が 大きく揺れ客室乗務員が持っていたお湯の 入った容器が大きく波打ち床に こぼれるすみません引き返そうとする彼女 をいいからと精し奪うようにせが容気を 受け取ったもう一刻を争う事態だ赤ちゃん もうすぐ出てきますよお母さん頑張って ママ頑張って妊婦が最後の力を振り絞り

力強く生きんだその瞬間機内にうぶ声が 響いたおめでとうございます元気な女の子 ですよ俺の声が涙で 詰まる ありがとうござい ます妊婦が涙目で俺を見上げるせなも俺を 涙目で見つめ何度も何度も頷いた場内 アナウンスが流れこの機内で新しい命が 生まれたことが伝えられる一泊置き機内 からどっと完成が沸き起こったなんとも すずしい気持ちだ飛行機は予定より30分 ほど遅れて長崎空港に到着となったが苦情 の声は聞こえなかった妊婦と男の子は待機 していた救急者に乗り込む俺は出産を担当 した意思として付き添うことになったゆ 太郎私あなたにひどいことを言ってしまっ て本当にごめんなさい救急車に乗り込もう とする俺に声をかけたせなそんな彼女に俺 は笑顔を 向けるんだよまた後でゆっくり 話そうまた後ではその日のうちに訪れた俺 が遅れて会場に到着するとちょうどセナの 出番だった今日開催された学会のテーマは 臨床医療セナは一般公園にて臨床現場で 働く看護師として出演するそれは以前から プログラムを見て知っていただが予定外 だったのは演者として参加する予定だった 恩師の教授が父親の休によって出られなく なり急遽俺が講演することになったことだ その夜ホテルの宴会場にて渾身会が行われ たゆ太郎後ろからポンと肩を叩かれて 振り返るとせがいたああせお疲れ様笑顔を 向けるとは俺とはに泣きそうな表情を 浮かべるどうして医者になったって言わ なかったのよ私はずっとゆ太郎は医者に なるのを諦めたんだって思ってたうん 諦めようと思ってた大学受験を間近に控え た冬父が命を立ってしまった原因は克服し たと思っていた癌の再発父は優しくて弱い 人だったあんな苦しい病生活はもうでき ないと諦めてしまったのだ少しでもいい から長く生きてほしいと願う母や俺の思い なんか無視してそれじゃあ命を救おうと 必死になって働く医者や看護師って何なん だろう自分が何を目指したいのかも分から なくなってしまった俺は父のような病気の 人を救えるような医者になりたいと思って いる一方でそれを望まない苦痛だと考える 人もいるどうしたらいいのか何が正しくて 何が間違っているのか自分は何をすれば いいのか全部分からなくなってしまったん だでもそんなことは看護師を目指して 頑張っているせなには言えなかった父親の 葬儀が終わって10日後なんで受験の大切 な時期に10日も休んだのよ心配そうにし

ながら怒ってきたせなに俺は告げたごめん 切な俺国立代の医学部は受けられない大学 に行かない医者になる夢は 諦めるなんで突然そんなこと言うの2人で 夢を追いかけようって同じ病院で働こうっ て約束したじゃんどんなに問い詰められて も俺は切なに理由を話さなかったそんな 態度にせなは激怒しもうゆう太郎なんて 親友でも友達でもないわ俺たちの友情は 壊れそのまま卒業したのだった25年が 経ち俺はようやく偉大を目指せなかった 理由を切なに話すことができ た言ってくれればよかったのにそう言い ながらもなぜ俺が話せなたのかせは理解し てくれたようだっ たそれで偉大にはいつ行ったの高校卒業し てからは就職して働いていたんだ好きでも ないしやりがいも感じないけどこんなもん だって思ってたそれがばあちゃんの友達の 見舞いの付き添いを頼まれて病院を尋ねた 時に気持ちが変わったんだ一呼吸をきをめ ナを見かけたから突然自分の名前が出てき てセナの眉が上がるセナが患者さんの車 椅子を押して廊下を歩いていた俺は顔を 合わせたくなくてとっさに隠れてせなを そっと見てたんだけどせながさ患者さんに 優しく話しかけててすごくいい顔してた 看護師として働くことを誇りに思っている が伝わってきたあの時の気持ちは一生忘れ られないだろうせなのことが誇らしくて 嬉しくてそして自分のことが情けなくて 恥ずかしかった俺は何をしているんだろう 切なに今の自分を誇れないきっともう切な に会うことはないだろうけど会えたら今度 は自分が好きな自分で会えるようになり たいそう思ったそれから必死でお金を貯め て偉大を受験したんだもちろん私立なんて 無理だから国立1本で小学金も取って高校 生の時よりも必死に勉強したよ偉大で俺は 誰より勉強熱心な学生だった社会人を経て から医者になろうと努力するそんな俺の姿 に教授が官命を受け時間を咲いて抗議をし てくれた医者になってからも勉強や研究を 続けるモチベーションを保てているのは 一旦医者になるのを諦めた期間があった からこそだと今なら言えるこんな俺が恩師 である教授の講義を代理で頼まれるまでに なるなんて誰が思っただろう自分自身信じ られない切なが俺に 歩み寄る私あの時悠太郎がどんな状況に 置かれているのかなんて知らずに一方的に 突き放してごめんなさい俺こそちゃんと 切なに話していれば友情が途切れることは なかったのにな俺たちは自然と見つめあっ ていた目を合わせた俺たちはもう言葉を

かわさなくても再び親友となってい たそれから10年何の因果か俺たちは同じ 病院で働いている35年の時を得て ようやく夢が叶ったのだ山先生午後の開心 お願いしますね分かっていますよ看護師長 互いに廊下を早歩きしながら声をかける 病院では常に時間がないからどうしても 早歩きになってしまう今日お昼どう俺の 問いかけにせが 答える太郎の呼び出しがかからな 切に言われてにっこり微笑んだそれじゃあ また後でな俺たちの友情は永遠 だ俺の名前は茂野一31歳都内の割と有名 な出版社で働いている会社は割とブラック だこの仕事は俺の人生で2つ目の仕事だ 俺は昔から本が好きで静かだったから どんな環境でも割とすぐに嫌がらせの対象 になってきたもちろん嫌だけどしょうが ない俺にできることは何もない社会人に なってからは嫌がらせというよりは ストレスのはけ口になってるなと感じる だっって噂されてる理由が寝とか無能とか 存在感がないなどくらないことだから一応 みには気を使って清潔感がある感じにはし てるから見た目について言われたことは ないが根暗なんて言われても俺にはどう しようもできないだろう無能だって言われ たって与えられた仕事はちゃんとやってる しミスもほとんどないし俺は長年静かで何 も言い返したりしないタイプだったから俺 にケチをつけてくる人の大半はただ自分の 立場を上にしたい証人欲求の方塊りで イライラしてる時に当たってきてるだけ だって分かったんだ根暗を直せ職場の 雰囲気が悪くなると言われたこともあるが 気持ちは分かるが俺には根暗じゃないを どう演じるかもわからないし喋るのが苦手 だし仕事に最低限必要なこと以外は話し たいと思わないし職場の雰囲気が嫌なら お前が仕事を辞めればいいと心の中で思っ ていたでも女ってもっとめんどくさくて何 も言い返さない俺を見 てなんだよ生息な顔して心の中ではうぜえ なとか思ってんだろ文句あんなら言い返し てみろよ性格悪マジうざとか言ってきたり した文句なんかないお前らなんか眼中に ない女なんて1人じゃ何も言えないくせに 他にも電車が人身事故でかなり遅延した こともあったが運悪く俺の家の最寄り駅 から会社まで他の路線を使っていくことが できなかったそして遅刻したその時には もっと早く家を出れば遅刻しなくて良かっ ただろう怠慢だと言われたこともあるが その横で気の強い社員が電車の人身事故で 遅刻しました遅延証明書ありますと出勤し

てきたが俺に注意をした上司も他の人も その人には何も言わなかったその人に注意 したら怒鳴り返すてきてめどくさくなる ことが分かっているからだ人は弱いから何 も言わない人を攻撃しやすいまあとはいえ 会社がきついってのも問題の1つだ営業の 仕事はきついし1日12時間以上は余裕で 働かされるし俺の仕事は編集がメインだが とにかく時間がなくて大変だ実力社会でも ある新卒でも技術がなく仕事ができないや は嫌がらせやストレスのはけ口の対象に なる俺の会社にはあさな嫌がらせはないが 妬みや嫉妬ストレスをぶつけられたりなど はある社員の性格のせいでもあり会社の せいでもある元々大人しく目立たないよう に生きてきた俺だががこの会社ではさらに 目立たないように生きている変な噂を流さ れたり嫉妬や妬みで嫌がらせをされて自分 が傷つくのを避けるためだ何も言い返さ ないやだからって傷つかないわけじゃない んだもし嫌がらせの加害者になっている バカがいたら教えてあげたいお前のような 想像力のないやつはいずれ自分の無能さに よって苦しめられると俺のについても話す が父親は何も干渉しないタイプだった物事 に興味がないというか自分のことしか考え てない感じだ一方通行って感じ別に仲が 悪いとかそういうことではないただ話をし ても深く聞いてきたりはしないし父親が どこかに行ったなどの話はしてくるがそれ 以上は話してこない母親は俺と真逆のよう な性格で明るく好きで人前に出ることが 大好きだった母親同士で集まりがある時は いつもグループの中心にいたそして おそらく昔はギャルだったと思うたまに 過去の写真を見せてきて昔のお母さん 可愛いでしょうとか子供相手にそんなこと を言ってくるような人だいつも派手な服装 に派手なメイクそうだから母親は俺の性格 が好きじゃなかった静かに本を読んだり ほとんど話さないのが理解できなかった みたいだ子供の頃からそれは感じていた俺 だってわざと暗く過ごそうなんて思った ことはないしほっといて欲しかった母親が 俺の性格が好きじゃないのは今でも少し トラウマのように感じることがある俺には 3つ離れた妹がいるが母親に似て派手だっ た顔は父親に似てあまり可愛いとは言え ないがいつも明るくて面白くてみんなの 人気者だっただから母親は俺より妹を とても可愛がった家族にも会う合わないは あるし好き嫌いもあるんだ俺は子供ながら に傷ついたしそれを学ぶことができた しょうがないけど妹ばかりたくさんのもの を買ってもらってたのはさすがにイライラ

した俺だって欲しい本は山のようにあるの にと当時は思っていた一度母親に妹ばかり 欲しいものを買ってもらってずるいと言っ たことがあるが母親はさきは女の子だから 色々お金がかかるのいは何も欲しがらない じゃんとわけのわからない理論を言われ そんなことはないと思ったが俺は言い返す のをやめた大人はいつだって自分に都合の いい言い訳を持ち合わせているしめてくる 大人とは戦えない強いからじゃないずるい からだ同じ土俵に立ってないから戦える わけがないそんな家庭で育ったから俺は とにかく早く家を出たかった1人で静かに 誰にも干渉されずに本を読んで過ごすのが 好きだったから俺は地元の4年生大学を出 て就職の時は都内で1人暮らしを始めた後 で話すがお金はあったから1人暮らしの 費用も全部自分で支払ったし金銭面では親 に迷惑をかけた記憶はないまあ母親の料理 は見た目にこだわっていて味は美味しいと は思わなかったが1人暮らしを始めて母親 の料理のありがたさはかなり感じた実家に いた時は休みの日は好きな本を朝から晩 まで読んでご飯の時間になったら問題なく ご飯が出てきてたから多分俺と同じ境遇で 1人暮らしを始めたやなら分かってくれる と思うそして仕事は問題なく決まった俺は 本を読んだり小説を書いたりするのが好き だったが初めての就職は全く関係のない 介護関係の仕事にした俺は感受性は豊か だったがそれを表現したり人と コミュニケーションを取るのが苦手だった 多くの本を読んでるうちに俺が人と コミュニケーションを取れるようになっ たら人として最強じゃねと思ったのだ当時 は若かったから言い方を変えれば俺に足り ないものを補いたいと思ったんだ最初の 仕事は老人ホームの職員だそこは男にとっ て仕事はハードだが対応は天国だった介護 の仕事では男手は本当に大事だから就職し た時はめちゃめちゃ感謝された重たい仕事 や解除は腰に来たが女性職員はいつも頼っ てくれるし尊敬されてたし入居者からは 先生と呼ばれていた俺は先生と呼ばれたり ちや名誉が欲しかったわけじゃない学生 時代クラスメートから根暗や存在感がない など言われてた当時は俺の存在意義が 分からなかったし母親は明るいものが全て で暗い俺を嫌いだと思っていたのが伝わっ ていたからかなり自己肯定感が低かった俺 にも会う場所があると知ったのだ他にも 入居者のじいちゃんばあちゃんが ものすごい笑顔でありがとうと言ってくれ た日はとても幸せだった中には小説好きの じいちゃんもいたお前の趣味は何だと聞か

れ小説を読むことですと答えると話が 盛り上がりどの作家のどの本が好きかとか 1日何冊読んだとかで何日も盛り上がった そのじいちゃんは奥さんを最近なくして 塞ぎ込んでいたらしいが俺と小説の話で 楽しく話をしていくうちにゆっくりだが 元気を取り戻していった俺と話すことが今 の生きがいだと言ってくれたとにかく誰に でも必要とされる場所があるし ポテンシャルを最大限に発揮できる場所が ある俺はここで自己肯定感を取り戻したし 人とコミュニケーションを取りたいと思っ た時に自然に取れるようになっていった 仕事は面白い普段ならわざわざ選んでし ないことが嫌でもできるようになるんだ からじいちゃんばあちゃんは優しかった いつも何かするたびに感謝してくれた感謝 は人を勇気づけることもあるそう周りに 感謝できる人がいるのなら俺はどんどん 感謝することをお勧めするこのの職場では 人間関係で嫌な思いをしたことがなかった 男は俺含め2人だったのもあるかもしれ ないがもしかしたら女性社員の中では問題 があったのかもしれないが俺は居心地が 良かった休憩中も居心地が良かったから スタッフと楽しく話をして過ごした50代 の主婦から20代の大卒まで幅広い年代の 人がいた主婦のスタッフは俺や他の若 スタッフがコンビニのものばかり食べて いると手軽に作れる簡単な料理の作り方を 教えてくれたあとはちょっとした水回りの 掃除の豆知識とかスタッフの中にはお 菓子作りが好きな人もいてクッキーを もらったり手作りパンをもらったりした俺 は自分から話すことはほとんどなかったが それでもこの職場では自分から話しかける ことに苦痛はなく気づいたら誰かと話して いだ愚痴なんてほとんどなかったし話の 内容も家族の話や入居者と体験した面白い 話ばっかりだった多分みんなプライベート がめちゃめちゃ充実してたんだと思うでも 俺はこの職場を2年で辞めたなんでやめた かと言うと居心地が良かったからだ他にも 色々理由はあるが俺が求めていた人と コミュニケーションを取るということが 達成したからそろそろ自分の好きなことで 勝負してみようと思ったからだもちろん スタッフも利用者さんもものすごく悲しん でくれた小説好きのじいちゃんは俺の最後 の出勤の日に泣いてくれたそれが1番心が 痛かった大事な奥さんをなくしてようやく 元気を取り戻してきてたのにまた塞ぎ込ん ないかなととても気がかりだった他の入居 者もとても寂しがってくれたスタッフの 方々からは盛大に差別会いをしてもらった

かなりいい店で焼肉を食べたり飲んだり とても楽しかった老人ホームのスタッフは レクリエーションを考えるのが得意だから ビンゴを企画してくれた俺は見事1番に ビンゴしたいやあれはしまれていたなだっ てそのビゴの景品が小説だったのだから それはもちろん俺も思っている小説だった が何度も読まれてボロボロだったすぐに誰 からか分かった小説好きのじいちゃんだ俺 が小説好きなのは1番あのじいちゃんが 知っているパラパラと本をめくると最後の ページに吉田とサインが書いてあった俺は 涙をこらえるので必死だったそれは小説 好きの吉田のじいちゃんの1番の お気に入りの本だったからだ泣いても 良かったんだろうけど今は楽しい場面だ からと思い涙をくっこらえたこんな息な プレゼントをくれる吉田のじいちゃんと 最高のシチュエーションでくれる職場の スタッフたちたったの2年だったけどここ までしてもらえるなんて人生で1番心の こもったありがとうございますを伝えた この性別会の日俺はこの職場を辞めて本当 にいいのかと何度も考えた後悔はない次に 進むためまあ人手不足だから戻りたかっ たら雇ってもらえるだろうと自分に言い 聞かせた帰り道は泣きそうになったただ俺 は金に困ってなかったが介護職員の給料は 仕事の割にかなり少なかったこれはこの国 の永遠の課題だと思う年寄りの笑顔でなん とかみんな持ちこたえてる世界俺にはそう 見えたこれから老人はもっと増えるし もっと給料を上げてくれてももいいのに 両親の話から思わず今の会社に入社する までを語ってしまったが俺は今の出版者に 勝負する気持ちで入社したんだ前にも説明 したが本当にブラックな会社で実力社会だ 俺は前の職場を辞めて同じ年に入社した から6年経つことになるどんなに根暗無能 早くやめろと言われたってこの会社に6年 も生き残ってる俺がができないわけじゃ ない証拠だ新人で仕事ができないやはすぐ にやめていくしそうでなくても仕事が きつかったり人間関係で精神を病んで辞め ていくやもたくさん見てきたもっと平和に 仕事できないものかと何度も思ったが編集 の仕事をメインにしていた俺に天気がやっ てきたある日仕事に行くとなんだかやけに 車内がざわついている聞くと美人上司の 担当作家が倒れ出版ができない大ピンチだ ということだ俺はチャンスだと思ったただ きっと俺以外にもやりたい奴はいっぱい いるし何より俺はヒエラルキーの下という ハデがあったみんな俺を無能だと思ってる から俺がいくらいい話をかけると言っ

たって信じないだろうし話も聞いてくれ ないだろうただ俺はこのチャンスを逃す わけにはいかなかったざわつく社内で私は 長く佐藤さんの担当作家の編集をしてきて 身近で見てきました私に続きを書かせて ください明日までに書いて持ってきます もしダメなら使ってもらえなくて大丈夫 です俺の必死な訴えに他にも話を書き たかったやや俺を見下してたやは反対して きたしのは無能だから無理だよ私もしの さんは向いてないと思う 私は今までずっと小説を書いてきました私 の方がいいものをかける自信があります私 も三浦さんをお勧めしますしのができる わけがない時間の無駄しばらく沈黙の後 美人上司の佐藤さんが今回は急な話で時間 がないんですもしやりたい人が複数いるの なら明日までに続きを書いてきてください 明日こちらで判断します中でも重要 ポイントの1つは担当作家のやいさんの各 話はキラキラした世界観とファンのやよい さんに対するイメージを壊さないように 書いてきて ください美人上司の佐藤さんは性格は良く ないし他の人と同様もちろん俺を見下して いるいつか俺のミスに対して茂野さんって 無能ね良かったわねまだ首になってなくて と言われたこともある他にも俺のミスでは なかったが俺がそれに気づかなかったこと にまだ仕事やめないのはっきり言って邪魔 だよと言われたこともある俺はそのくらい では傷つかなくなっていたけどでも不愉快 だったそんな佐藤さんがチェックするんだ から本当にいいものを書かないと見て もらえないでも逆にいいものをかければ見 てもらえるかもと思ったやるしかない俺は 仕事が終わり走って家に帰るとすぐに話を 書き始めた31はもうすでにできているあ は世界観を壊さず慎重に書いていくだけだ 俺は寝ないで書く予定だったが思ったより 早くできたので5時間ほどで書き終えた手 は抜いていない本気で執筆したそして翌日 朝早く職場に着くと佐藤さんにその稿を 渡した佐藤さんの担当作家さんが書いてた 小説の続き書いてきました ふどうやら俺が1番に渡せたみたいだだ けど順番なんて関係ない俺には自信があっ た20分後佐藤さんがやってきたしげの さんあなた小説書いてたことあるのはい 以前 少しもしかしてしさんってまといが好きあ はいえもしかしてあなたがまいだったり するはい嘘あの天才作家のいや佐藤さんは 驚きのあまり何も言えない感じだった俺を ののしる言葉も出てこないようだった俺も

バレないように言葉を濁していたその時 周りにはほとんどの人がしてきていたえ しげのがあの天才作家まとい知っ てる周りはざわざわしていた俺はバレたく なかったどうせ天才作家で一躍有名になっ たなんて言ったらみんなの態度が変わるん だ俺はそれが嫌いだったでも嘘をつくわけ にもいかなかった佐藤さんクラスになると たくさんの小説を見てきただろうし構成を 見れば誰が書いたかなんて分かってしまう から皆さん他にも書いてきてくれた人は いると思いますが今回はやよいさんの世界 観を壊さずとんでもない結末を迎えるしの さんの小説を採用しようと思います時間が ないので他の人のチェックはできません すみません時間がないなんて嘘だ俺には 自信があった絶対に俺の話が良かったから に違いない俺の本名を聞いても知ってる人 はいないと思うが俺には芸名のようなもの があるまといこの名前を聞けば小説や 本好きの人なら絶対に分かるだろう一時期 数々の賞をそうなめにした天才作家と ニュースになったんだから多分小学生も 知っている人はいるはずだ小学生の読書 感想文の本にも選ばれたと記事を見たこと がある俺は心ついた時から感受性が豊か だったそして本も好きで1週間で10冊は 読んだそこで小説を書き始めたのだ俺は それを誰にも見つからないように机の 引き出しに隠していたが母親が勝手に読ん で才能があると思い文芸士などが主催する 新人賞に応募したら見事章を取ったのだ それは俺が14歳の時だった中学生天才と 言われ一躍ニュースにもなったテレビの オファーも来たが俺は顔を出すのも喋るの も苦手で断った目立ちたがり屋の母親には めちゃくちゃ怒られたけど顔なんか知られ たらたまったもんじゃない売れて声をかけ られるのも嫌だし小説が落ちぶれた時 なんて世間から何言われるかわかんないん だから俺はただ話を書くのが好きなだけ だったし母親も初めはそんなにたくさんの 本を買ってくれなかったが俺が賞を取って 作家デビューをしてからは欲しい本は全部 買ってくれた評価されて欲しい本を買って もらえるのは嬉しかったけどなんだか 切ない気持ちにもなった俺が何かを 成し遂げて態度が激変したからだ俺が 初めてシを取ったとニュースになった翌日 学校に行くとみんなが話しかけてきたお前 の賞取ったんだって俺もニュース見たしの 君すごいね正直クラスメイトたちに 話しかけられるのは不快でしかなかった だっていつも悪口を言う時しか誰も俺に 話しかけないのに世間が天才中学生と

騒ぎ立てた途端こうもみんなの態度は 変わるのかと正直ショックだった人の裏側 を見た気持ちだっったそれからも田川賞や 直しなど数々の賞を受賞しどんどん有名に なっていったもちろん小説を書くのが好き でそれが賞を取った時は嬉しいだけど そんなことで世間の俺への態度が変わるの が苦痛だったもちろん賞金としてかなりの お金ももらった高校に入った時に クラスメイトの女子がシのってかなり金 あるらしいよえマジ作家でしをると賞金や 印税がえぐいらしいゆき玉のこしに乗れば いいじゃんいや私はあんな寝ら金があって も無理でもしげのって眼鏡取れば顔はまあ 中のジじゃんと話すのが聞こえてきた静か でひっそりと生きてきたのに急に評価の 対象になってしまったのだいい内容であっ ても気持ちのいいものではなかった とりあえず会に応募すれば必ず受賞した から金はたくさん入ってきた俺のものだと 思ってたが母親にも使われていたがそんな 環境だったから俺は地位や名誉を手にした 時本人だけでなく周りも態度を変えると いうことを子供の時から知っていた俺自身 はちや名誉に興味がなく好きな本を読んで 好きな話を書いてひっそり生きていたかっ たから何も変わってないと思うが今の時代 で言うとソーシャルメディアもその対象 ソーシャルメディアのフォロワーが増えた 途端態度が変わるなんてやつも見たことが あるくだらないが俺は周りが態度を変える ことにひどく傷ついたことがあるさすがに 今は大人になったから大丈夫だがだから俺 はそれが嫌で最初の就職をみんな平等に 評価される介護の仕事にしたんだ作家だ って芸能界の一種のようなものだ俺はその 世界に疲れてしまっていたし好きな仕事で 傷つきたくなかったからでも2年働いて 自分が成長できて自己肯定感を取り戻せた から戦うことに決めたんだ出版社は華やか な世界のように見えて大変だ入社当初から やりたいことや好きな本に携われるなんて 期待していなかったし誰かにジャッジさ れるのが嫌だったからわざと無能なふりを していたんだもちろん最低限の仕事はした がまあ根暗っていうのは好きでやってるん じゃなく元々静かな性格だからそのままだ けどそして俺の予想通り俺が数々の章を そうなめにした天才作家のまいと知った後 から職場のみんなの態度は激変した自慢 じゃなくこれが本当に疲れて嫌なんだ よ私ずっととばさんのファンでしたまあ ありがとうございますいきなりこの業界 から消えたからてっきり引退したと思って た和葉いってしげのだったんだなはいまと

いという作家を知らない人たちはなんで みんなで俺をちやほやしてるんだって 面白くない感じだったが俺の周りはまつを 知てる人で囲まれた同じフロアで働 ほとんどの人が俺の小説のファンだった らしいそれは純粋に嬉しかった俺に対する 態度が激変してるのは不愉快だったけど 好きなことをしてお金を稼げて誰かを幸せ にできるそれって最高じゃん俺はその一見 以来重要なポジションを任されるように なったし記事作成の仕事に大きく関われる ようになったそして普段の仕事とは別に 小説を書いて会社で出版しようという話に なったこの会社に入社し辛いことや見下さ れることを乗り越えようやく1番好きな ことでお金を稼ぐことができるようになっ たこの経験を違う角度から見ればみんなに 見下されても嫌がらせされても実力で 見返してやるってのも手だなと思った俺の 目的は違ったがだからどんな境遇でも周り のせいにせずひたすら自分の信念を貫いて 頑張れば結果はついてくると思うし妬み 嫉妬嫌がらせを見返すことができるんだ なって思った言い訳はしない自分には絶対 に周りの評価なんてくだらないくずだ俺は 自分の人生を生きているからその後俺の 小説は出版社で働いているのに小説を書く ことだけに集中すれば良くなった編集の 仕事もしなくいいそうだとにかくあのまが 戻ってきたと世間ではニュースになりうち の出版社がめちゃくちゃ儲かってて俺は 本当に好きなことだけでお金を稼げるよう になったもちろん仕事内容が楽になったし 自分の勉強のために2日で1冊の本を読ん でる感性を磨くために休日は自然の多い 公園や山に行ったりなどいいものを作る ためにできる努力も始めた本当は 引きこもって本だけ読んでるのが好きだ けど自然の力は壮大だ自然の多い場所に 行くといろんなストーリーが降ってくる 癒されるし日々の生活に疲れている人や 想像したり何かを作る人アーティストの人 にもおすめの場所だよく本屋に行くと新刊 のところにあのまきが帰ってきたと大きく 見出しが張ってあるそして手に取って読ん でる人ももいる嬉しかった本なんてなく たって人は不自由なく生活できる本は 生きるために最低限必要なものでもない それでもこうして俺の作ったものを必要と してくれる人がいるそれが明日を生きる 言動力になってくれたなら最高だそして この話には続きがあるあれだけテレビに 出るのが嫌だった俺だが今回の一見で自分 の中で何かが切れてテレビに出ることにし たんだあの数々の賞をそうなめにした天才

作家が戻ってきたといろんなテレビに出演 したもちろんオファーが来たからなのだが なんで出たいと思ったのかわからない今 までのネガティブな面が全部消えた感じだ 母親のためでもないなぜだろう多分ずっと 自分が気にしていた地位や名を手にした時 周りが態度を変えるということがどうでも 良くなったんだと思うそして今まででき なかったことに挑戦したいと思ったのかも しれない出版社での仕事は変わりなく順調 に好きなことでお金を稼げているある時 コストを開けてみると数年前に働いていた 元職場の上司から今時珍しくA4サイズの 封筒が届いたメールでいいのにと思い ながら開けると中にはたくさんの手紙が 入っていたそこには今でもあの老人ホーム で過ごすじいちゃんばあちゃんと今でも 働いているスタッフからのメッセージだっ たそして1番大きい紙にテレビ出演お めでとうと書いてあった職場環境がいい からかスタッフの大半は変わらず働いて いるみたいだなぜ手紙を書いてくれたのか 上司からの手紙に理由も書いてあった みんなで一緒にデイルームでテレビを見て いたところ小説好きの吉田のじいちゃんが 俺がテレビに出演していることに気づいた ということだそこで懐かしくなって俺当て に手紙を書くから届けて欲しいと頼んだ らしいその時他にも俺を覚えててくれた 何人かが私も俺も書きたいと言ってくれた らしいスタッフの近況報告も入っていた 当時俺と同じく20代だったスタッフは 結婚し今は子供もいるとのことだ50代 主婦のスタッフはテレビに映った俺が ガリガリだったのを見て相変わらず俺が 自炊できずご飯食べてるのかと心配して くれているらしいこんなスマホが普及した 時代に手紙をもらってなんだか心が温かく なった最後に俺は小説好きのじいちゃんの 手紙を見たまとい君へと丁寧に作家名で 書いてくれた私は妻を失ってとても 悲しかったでも君と出会って好きな小説の 話をしているうちに元気を取り戻していっ たテレビで見た君は元気で良かった君が この施設を出ていった後しばらくは 落ち込んで何も考えられなかったが老眼鏡 を使って小説を読み始めたんだもちろん君 と話をしたかった君のことを忘れた日は ありませんテレビで元気な姿を見て安心し ました私の会いたいという思いが届いたと 思いましたお体に気をつけてたまには両親 に顔を見せてあげてください 吉田その手紙を見た時感激と懐かしさと 切なさで涙が出た誰かにこんなに純粋に 思われて心を動かされない奴なんていない

と思う俺はいても立ってもいられなくなっ た時間は午後18時をを過ぎていた施設は 夜勤の時間だ夜勤のスタッフの人手が足り ない時間に電話なんかかけたら邪魔かと 思いながらも感謝を伝えたい気持ちが まさった俺は施設に電話したもしもし私 以前そちらで働かせてもらってたしげのと 申しますまだ全部話し終わらないうちに しの君と主婦のスタッフが話しかけた電話 ありがとうでも今手が離せなくて今週の 土曜か日曜日もしお休みだったら施設に 遊びに来ないと言われたわかりましたそし たら日曜日の14時に伺いますはいみんな に伝えとくね楽しみにしてるねそして電話 は切れたそして前日の土曜日俺は日帰りで 実家に帰った俺の医師でというより吉田の じいちゃんの手紙に書いてあったからじい ちゃんに会う前に実家に帰らなきゃと思っ たからだ何の連絡もなく実家に帰ったら 家族3人みんな揃っていたえいつき連絡し てくれればいいのにああごめんもし前もっ て帰る連絡をしたらちょっとテレビに出て 有名になった俺を近所の人に言いふらすか もしれないと思ったから連絡ははしなかっ たお兄ちゃんテレビ出てたじゃんトク 下手くそだったけどでもさき友達に 言いふらしたこれお兄ちゃんだって お母さんもみんなに行ったわよそしたら サインもらってきてってあんた芸能人 じゃんお兄ちゃんお金稼いてるんなら iPad買ってよなんで俺が女チームは 好き放題行っているそれに加えて父親は お前ガリガリだなちゃんと食ってんのかと 関係ないことを言っているこれが俺の家族 だテレビに出て喜んでくれるなんて可愛い 母親と妹だなと思った父親は相変わらず そこまで俺に関心がないというかまあ俺が 元気だったらいいってことかなもういっか 過去のトラウマやネガティブな感情は 手放そうそう思ったは過去から解放された 俺のトラウマはこの日消えた次の小説の タイトルはトラウマにしようそう思った 母親の昼飯をみんなで食べた見た目重視で 味は相変わらず変わってないそのおかげで 妹のInstagramは母親の映えご飯 というタイトルでバっているらしいイン スタもバズルもよくわからないが母親が あんたいつか帰るのと聞いてきた俺は今日 の夜と言った あや明日休みなんだから泊まって行けば いいのに明日用事あるからお母さん お兄ちゃんは芸能人だから忙しいのそうね なんだかわからないけどみんなが元気で 楽しそうでよかったその日最終の電車で 東京に向かった1人の部屋がとても広く

感じたそして翌日約束通り俺は以前の職場 の老人ホームへ向かった14時に行くと 言ったのは昼飯が終わって1番落ち着く 時間帯だからだ俺はワクワクしていたもう 職員じゃないから俺は正面玄関からベルを 押してこんにちはと言った50代主婦の 伊藤さんが出てきたしの君み待ってよ みんな笑顔で迎えてくれた俺も思わず笑顔 になった俺は吉田のじいちゃんを探した 以前は杖で生活していたが車椅子を使って いた1番乗りに吉田のじいちゃんのとこへ 向かった吉田のじいちゃんが車椅子だった から隣でしゃがむとじいちゃんは泣いて 気づいたら俺たちは抱き合っていた会い たかったですしの君えてよかったしばらく 男同士で抱き合っていた次の新作楽しみに 生きてるから俺はじいちゃんの顔を見て 絶対面白いの作るからと意気込ん [音楽] だ

#スカッとする話
#スカッと
#修羅場
スカッとする話を朗読形式でお届けします。
本動画は創作によるものですので、
ご参考程度に留めていただければ幸いです。

※登場する人物は仮名です。実在する人物とは一切関係ありません。
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