亡き両親を見つめ、自分自身を探す対話  内田也哉子さん「BLANK PAGE 空っぽを満たす旅」インタビュー ・・記憶と記録2024

内田やや子さんブランクページ空っぽを 満たす度 インタビュー心情をとしたエッセから谷川 俊太郎さんを始め15名との対話まで納め た本作に込めた思いを聞きました分川村 あみお話を聞いた内田 内田1976年東京生まれ文章家エッセ 翻訳作詞ナレーションの他音楽ユニット サボでも活動俳優さんとロック歌手ゆさん の1人娘として生まれ夫の元木正弘さんと の間に長男でモデルの歌さん長女のから さん次男のゲトさんがいる著書に新相版 ペーパームービー朝日出版社会見機 ブルークともにリトルモアききキリさんと の教長9月1日母からのバトンポプラシ 中野のぶ子さんとの教長なんで家族を 続けるの文春新書など大切なこと フレーベル艦海岩波書店など絵本の翻訳 テレビ番組ノーアートとノーライフEテレ のナレーションも手がける光に向かって いくイメージブランクページカラッポを 満たす度の後書きには5年にわる心情の コラージュとなったとありますが改めてご 両親はどのような存在だったと振り返り ますか生きている時は大きすぎて重たい 存在けれども姿形がなくなってみると いかに2人が私の中に大切なものを育んで いたのかと気づきました失わないと見えて こないものがあるなんて切ないですし天の じもしれないですね両親が開して5年経ち ましたがここまで長かったですし色々な 思いが駆け巡ります連載が1冊の本となり ました今は様々なものがオンラインで見 られる手軽さも素晴らしいのですが エッセーもイラストも含めて紙にすられる と存在感があって本というものがこの世に 生まれ落ちた喜びを感じますね連載の時 から相は次男の元と元とが描き当初8歳 だったのが現在13歳になりました子供が ティーンエージャーに成長するのは ドラマチックな変化でもあり喜びでもあり ますカバーのアブストラクトな ペインティングは自分で描きました雲や霧 モヤのようなイメージで少しどんよりして いるけれどもその向こうに太陽の光がさし ている光に向かっていくイメージですゲト さんとは初めての親子共同作品となります かそうですね今回は次男と初の共同作業 でした2001年のエボ会見機リトルモア では長男のと長女のキャラが絵を描いて いるんです自分たちでオリジナルのものを 作っていくということがすごしに合って いるんですよねどちらも思い出深いものと なりました喧嘩ばかりの両親意外な一面 本作でご両親のことが綴られる箇所のうち

の1つにシャルロットゲンズブールさんと の対話のエッセーでキリンさんがゆうやけ にお祝いのファックスを送っていたことや そのファックスをゆさんが大元に保管して いたことをやや子さんは美品整理をして 初めて知ったとあります 現在は新たなご両親臓をお持ちになられた ところもありますかありますね私が 生まれる前から両親は別居していたので パートナーとして健やかな状態の2人を見 たことがないまま大人になりました特に父 は言いたいことを言って10秒に1回 ぐらいは感情が爆発する人だったので会う と喧嘩になることもしばしば家族で集まる ことが一番緊張するという家庭でした けれども母が亡くなった後に探し物をして いたら一冊の厚いノートブックが出てきて そこにたくさんの人からの手紙が貼って あったり結婚してすぐの頃に外国から父が 母に送った手紙やはがきなどもあったり 結構まめに色々な年から出しているんです よねあの父がそんなことをしていたのかと いう驚きやそこに綴られていた素直な 気持ちを知って根底にはあなたのことを 大切に思っているというメッセージが書か れていたのですがそれを私には見せず母は 自分のためにファイルして取ってあったん です父の品整理をしていた時にも同じよう に大切に母からの頼りを箱にしまってあり ました何でもなくしてしまう父が母から来 たファックスをちゃんと保管していたんだ なと生きている時は一緒にいると揉め事が 多かったけれども人生の後半は追い詰め 合うエネルギーが落ち着いてきてそうした 時に怒りと同じぐらいの熱量で同じ時代に 芸能界というま不思議な世界を突っ走って きた2人だからこそ何か他の人には分かり 得ない共感を持っていたのだろうと思い ます以前より少し楽しい割合がていったの でしょうね空白な心持ちすごく大事夫婦と いえばやや子さんは夫の元木正弘さんと 出会った当初文通やファックスで親睦を 深めた年月を経てご結婚し今年結婚28年 目を迎えました本作ではエッセのテーマを 模索するやや子さんに1人旅を提案する 元木さんのお話もありましたが元々昔から 何かを書くということがお好きだったの ですか本をたくさん読む子供ではなかった ですし学校で出される作文も苦手でことは 自分から遠いことだと思っていました文通 のような手紙は大勢に見せるものではなく 相手へのメッセージを上手じゃなくても ただ伝えたいから伝えるという モチベーションがはっきりしています手紙 を書く時にどういう便箋に過去こんな

はがきを見つけたからあの人に書きたい そういう思いが小さい頃から孤独だった私 にとっては大事なコミュニケーションだっ たんです大人になってからは書くことへの お気持ちが変わっているのではない でしょうか文章を書くようになったのは本 でも名前を出している秋山道男さんという 編集者でプロデューサーの方がきっかけ です19歳の頃私のある人への手紙を読ん でこの人はエセが描けるんじゃないかと 思って声をかけてくださって現行用紙と やや子と刻印されたモンブランのシャー ペンをいいて書かざるを得ない状況を作っ てくれました書けるはずがないと思ってい たんだけれども拙い言葉を綴って見せると この感じでいいんだよと教えてもらい ながら初めてエッセーを書いてそれが まとまったものが1996年に出した ペーパームービー新相版が朝日出版社から 発売中という本ですそこから細細と書いて いますこうして本になってみるとやや子 さんにとって書くということは特別なこと になったのではないでしょうかそうなん でしょうね自分ではちゃんとしたことが 書けているかは分からないけれども書く時 はまず紙と向き合いますよねそれこそ紙に は何もない真っ白な髪それこそブランク です真っ白な髪に向かった時に感じる紅葉 感や心々なさも含めて自分が感じた空白な 心持ちはすごく大事なのではないかなと今 までは足りないことを埋めようとしたり もういっぱいだから捨てたいと思う自分も いたりけれどもこの紙というフレームが あることによってそこからはみ出すことも 収まることもそれこそが自由という感じが していますスタンダードは自分が決める もの本作では小泉京子さん中野信子さん洋 たしさん鏡竜さん坂本さん田和さんなど 15名の方々との対話が掲載されています 対話の際は2人きりで会うことを重視され たそうですね元々人と会う時には大勢で 会うよりもその人と一定の震度で交流し たいと思っています1対1が原点で シンプル第3者がいると話をつい オブラートに包んでみたりかっこよく 見せようとしてみたりそうならないために もなるべく皆さんとは2人きりであってお 話を聞くことがむしろ1番のテーマだかも しれないですね対話には今まで知っていた 方も初対面の方も出てきます何か書こうと している人が1人で会いに来るというのは 相手の方もそれなりに面白がってくれない とそこまでエネルギーを向けられないと 思うので役得だなあと思いながら15名の 方の貴重なお話を丸ごと本に封じ込める

ことができました対話を経て何かご自身の 中で芽生えた感情はありましたか多様な 方々との対話だったので究極的にはこれが 正解というものが人生にはないんだなと つづく思いましただから自分自身の オリジナルな道を歩んでいけばいいという 説得力にもつながってもちろん素敵な方々 だからこその物事の捉え方があり消化の 仕方があるという憧れや教訓もたくさん あるんだけれどもでもそれが多様であれば あるほど私も勇気をもらえたと言いますか これまで両親からは何かを押し付けられた わけではないですがやっぱりインパクトが 強くて初めて会う人はみんなあの強烈な 両親の娘ねどんな子かしらという目で見る そうならないところへ行こうとして なるべく匿名性を重視して普通であること が一番いいという風にしてきたけれども 今回の対話を経た今は普通って何だろうと 普通ってあってないようなもので スタンダードは自分が決めていくものだと これだけ多様な方々と出会ってじっくり 向き合ってみて改めてそう思いました そしてたえ転んだとしても傷ついたとして もむしろその痛みを知ることによってまた 強くなれる同じような痛みを知った人と もっとより深くつがれるだからこの先も 生きていれば色々なことが起きてくる だろうけれどもなんとか荒波に揉まれて時 に流されながらも乗り越えていけそうな 予感をもらいました家族がテーマの軸に なっているところもありますか当初は家族 をテーマにとは思っていなかったのですが 私は家族のことをコンプレックスとして 育ってきたばかりに結果的にそうなって いるかもしれません両親をなくして初めて 自分と向き合いもにふす作業をしたと同時 に自分の人生を振り返ってこれからどう 生きていきたいかを掘り下げる景気がこの 連載だったんだなと両親が生きてくれてい たら今この時点で感じることは少し違った はずです母はよく生前に人は生きてきた ように死ぬんだよと言っていてどういう 意味だろうと思っていたのですが母も父も 嵐のように生きて嵐のように去っていった その去り方がすごく両親らしくてあまり 周りに迷惑をかけすぎないようにとさり際 はさっと急ぎよくという感じがしました ないものもあいでられるように やや子さんは文章家としてご活躍ですが時 に役者としても表現されることがあります ね役者としての仕事はプロフィールにも 書いていないぐらいです関わらせて いただいた作品は監督が上手に料理して くださったおかげですし全部亀を出演だと

思っています私は小さい頃から時々子供の 役の子がいなくなっちゃったからちょっと あんた出なさいと母に言われることがあっ て映像作品にり出されてはいましたが自分 からは1度も演技をしたいと思ったことは ないんです やっぱりそれは母や夫の領域であってこの 先もまたお誘いがあったとしてもいちご1 へのタイミング次第と感じていますただ 家族の仕事の大変さを身を持って知ること ができる貴重な経験に感謝していますゆ さんと最初で最後の親子共演となった映画 ブルーウンドブローズか同じ富名哲也監督 の最新作私どもはと共に話題を呼びました ロケ地が里島で一定の期間行けるという ことに魅力を感じて出演させていただき ました 監督に何もお芝居できないですけどいい ですかと言うとカメラの前でそのまま存在 してくれればいいんですとのことでさが島 では素晴らしい地元の人たちとも出会え ました私は自分から何かを開拓して情熱を 持ってこうしたいと訴えたことがない人生 なんですけれどもなんとなくそこにある ものプカプカと浮かんで自分の方にコツン とぶつかったものに乗っかってみるそんな 受け身な生き方もありかなと思うように なってきました若い頃はやりたいことが何 もないことがコンプレックスでしたから ないものねだりですよねでも今は逆にその ないものまでも会いでられる年を重ねた分 ないものも身によってはないことがいいと 思えるようになった母もそういう人だった のであの時母が言っていた感覚はこれだっ たんだなと年を取るのは悪いことばかり じゃない諦める潔良さが身についた分視点 や許容量が広がる豊かさを感じつつあり ます川村あみ ライター編集者コラムニスト大阪生まれ 出版社勤務後フリーランスとして独立編集 者として担当した音楽テレビなどの エンタメから恋愛婚活育児といった女性の ライフスタイル情報までを手掛けます アンアンWebウレピア総研テレビ ブラザーズ婦人論他エンタメ雑誌から韓国 ドラマのムックまでWebや雑誌でコラム 連載やインタビュー編集を担当

内田也哉子さん「BLANK PAGE 空っぽを満たす旅」
インタビュー 亡き両親を見つめ、自分自身を探す対話
亡き両親を見つめ、自分自身を探す対話
内田也哉子さん「BLANK PAGE 空っぽを満たす旅」インタビュー 

亡き両親を見つめ、自分自身を探す対話

内田也哉子さん

 文章家としてエッセイ、翻訳、作詞など多くの作品を手がける内田也哉子さん樹木希林さんと内田裕也さんの一人娘として生まれ、約5年前に立て続けにご両親が旅立たれた折に「喪失という名の空っぽ」を抱えた也哉子さんが始めた、季刊雑誌「週刊文春WOMAN」の連載が12月15日に『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』(文藝春秋)として書籍化

心情を吐露したエッセイから、谷川俊太郎さんをはじめ15名との対話まで収めた、本作に込めた思いを聞きました
(文:かわむらあみり)

お話を聞いた?

内田也哉子(うちだ・ややこ)

1976年東京生まれ文章家エッセイ、 翻訳、作詞、ナレーションのほか音楽ユニット sighboatでも活動俳優・樹木希林さんとロック歌手・内田裕也さんの一人娘として生まれ、夫の本木雅弘さんとの間に長男でモデルのUTAさん、長女の伽羅さん、次男の玄兎さんがいる著書に『新装版 ペーパームービー』(朝日出版社)、『会見記』『BROOCH』(ともにリトル・モア)、樹木希林さんとの共著『9月1日 母からのバトン』(ポプラ社)、中野信子さんとの共著『なんで家族を続けるの?』(文春新書)など『たいせつなこと』(フレーベル館)、『うみ』(岩波書店)など絵本の翻訳、テレビ番組「no art, no life」(Eテレ)のナレーションも手がける

光に向かっていくイメージ

――『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』のあとがきには「5年にわたる心情のコラージュとなった」とありますが、あらためてご両親はどのような存在だったと振り返りますか

 生きている時は、大きすぎて重たい存在けれども、姿形がなくなってみると、いかに2人が私の中に大切なものを育んでいたのか、と気づきました失わないと見えてこないものがあるなんて切ないですし、あまのじゃくかもしれないですね両親が他界して5年経ちましたが、ここまで長かったですし、いろいろな思いが駆け巡ります

――連載が一冊の本となりました

 今はさまざまなものがオンラインで見られる手軽さも素晴らしいのですが、エッセイもイラストも含めて、紙に刷られると存在感があって、本というものがこの世に生まれ落ちた喜びを感じますね連載の時から挿画は次男の玄兎(げんと)が描き、当初8歳だったのが現在13歳になりました子どもがティーンエージャーに成長するのは、ドラマチックな変化でもあり、喜びでもありますカバーのアブストラクトなペインティングは、自分で描きました雲や霧、もやのようなイメージで、少しどんよりしているけれども、その向こうに太陽の光が差している光に向かっていくイメージです

――玄兎さんとは、初めての親子共同作品となりますか

 そうですね今回は次男と初の共同作業でした2001年のエッセイ本『会見記』(リトル・モア)では、長男のUTAと長女の伽羅が絵を描いているんです自分たちでオリジナルのものを作っていくということが、すごく性に合っているんですよねどちらも思い出深いものとなりました

喧嘩ばかりの両親、意外な一面

――本作でご両親のことが綴られる箇所のうちの一つに、シャルロット・ゲンズブールさんとの対話のエッセイで、希林さんが裕也さんのお誕生日にお祝いのFAXを送っていたことや、そのFAXを裕也さんが大事に保管していたことを、也哉子さんは遺品整理をして初めて知ったとありました現在は新たなご両親像をお持ちになられたところもありますか

 ありますね私が生まれる前から両親は別居していたので、パートナーとして健やかな状態の2人を見たことがないまま、大人になりましたとくに父は言いたいことを言って10秒に1回ぐらいは感情が爆発する人だったので、会うと喧嘩になることもしばしば家族で集まることが一番緊張する、という家庭でした

 けれども、母が亡くなった後に探し物をしていたら、一冊の分厚いノートブックが出てきてそこにたくさんの人からの手紙が貼ってあったり、結婚してすぐの頃に外国から父が母に送った手紙や葉書などもあったりけっこうまめにいろいろな都市から出しているんですよね「あの父がそんなことをしていたのか」という驚きや、そこに綴られていた素直な気持ちを知って根底には、あなたのことを大切に思っているというメッセージが書かれていたのですが、それを私には見せず、母は自分のためにファイルして取ってあったんです

 父の遺品整理をしていた時にも、同じように大切に母からの便りを箱にしまってありましたなんでも失くしてしまう父が、母から来たFAXをちゃんと保管していたんだなあと生きている時は一緒にいると揉め事が多かったけれども、人生の後半は追い詰め合うエネルギーが落ち着いてきてそうした時に、怒りと同じぐらいの熱量で、同じ時代に芸能界という摩訶不思議な世界を突っ走ってきた2人だからこそ、何か他の人には分かり得ない共感を持っていたのだろうと思います以前より少し楽しい割合が増えていったのでしょうね

「空白な心持ち」すごく大事

――夫婦といえば、也哉子さんは夫の本木雅弘さんと出会った当初、文通やFAXで親睦を深めた年月を経てご結婚し、今年結婚28年目を迎えました本作では、エッセイのテーマを模索する也哉子さんに一人旅を提案する本木さんのお話もありましたが、もともと昔から何かを書く、ということがお好きだったのですか

 本をたくさん読む子どもではなかったですし、学校で出される作文も苦手で、書くことは自分から遠いことだと思っていました文通のような手紙は、大勢に見せるものではなく、相手へのメッセージを上手じゃなくても、ただ伝えたいから伝えるというモチベーションがはっきりしています手紙を書く時に、どういう便箋に書こう、こんな葉書を見つけたからあの人に書きたいそういう思いが、小さい頃から孤独だった私にとっては、大事なコミュニケーションだったんです

――大人になってからは、書くことへのお気持ちが変わっているのではないでしょうか

 文章を書くようになったのは、本でも名前を出している秋山道男さんという編集者でプロデューサーの方がきっかけです19歳の頃、私のある人への手紙を読んで、「この人はエッセイが書けるんじゃないか?」と思って声をかけてくださって原稿用紙と「Yayako」と刻印されたモンブランのシャーペンをいただいて、書かざるを得ない状況を作ってくれました「書けるはずがない」と思っていたんだけれども、拙い言葉を綴って見せると、「この感じでいいんだよ」と教えてもらいながら、初めてエッセイを書いてそれがまとまったものが1996年に出した『ペーパームービー』(新装版が朝日出版社から発売中)という本ですそこから細々と書いています

――こうして本になってみると、也哉子さんにとって、書くということは特別なことになったのではないでしょうか

 そうなんでしょうね自分ではちゃんとしたことが書けているかはわからないけれども、書く時は、まず紙と向き合いますよねそれこそ紙には何もない、真っ白な紙、それこそブランクです真っ白な紙に向かった時に感じる高揚感や、心許なさも含めて、自分が感じた空白な心持ちはすごく大事なのではないかなと今までは、足りないことを埋めようとしたり、もういっぱいだから捨てたいと思う自分もいたりけれども、この紙というフレームがあることによって、そこからはみ出すことも収まることも、それこそが自由という感じがしています

スタンダードは自分が決めるもの
――本作では、小泉今日子さん、中野信子さん、養老孟司さん、鏡リュウジさん、坂本龍一さん、是枝裕和さんなど15名の方々との対話が掲載されています対話の際は、二人きりで会うことを重視されたそうですね

 もともと人と会う時には、大勢で会うよりも、その人と一定の深度で交流したいと思っています一対一が原点で、シンプル第三者がいると、話をついオブラートに包んでみたり、かっこよく見せようとしてみたりそうならないためにも、なるべくみなさんとは二人きりで会ってお話を聞くことが、むしろ一番のテーマだったかもしれないですね対話には、今まで知っていた方も、初対面の方も出てきます何か書こうとしている人が一人で会いに来るというのは、相手の方もそれなりに面白がってくれないと、そこまでエネルギーを向けられないと思うので、役得だなあと思いながら、15名の方の貴重なお話をまるごと本に封じ込めることができました

――対話を経て、何かご自身の中で芽生えた感情はありましたか

 多様な方々との対話だったので、究極的には「これが正解」というものが人生にはないんだな、とつくづく思いましただから、「自分自身のオリジナルな道を歩んでいけばいい」という説得力にもつながってもちろん素敵な方々だからこその物事の捉え方があり、消化の仕方があるという憧れや教訓もたくさんあるんだけれども、でもそれが多様であればあるほど、私も勇気をもらえたといいますか

 これまで両親からは何かを押し付けられたわけではないですが、やっぱりインパクトが強くて、初めて会う人はみんな「あの強烈な両親の娘ね、どんな子かしら」という目で見るそうならないところへ行こうとして、なるべく匿名性を重視して、普通であることが一番いいというふうにしてきたけれども、今回の対話を経た今は「普通って何だろう?」と普通ってあってないようなもので、スタンダードは自分が決めていくものだと、これだけ多様な方々と出会ってじっくり向き合ってみて、あらためてそう思いました

 そして、たとえ転んだとしても、傷ついたとしても、むしろその痛みを知ることによってまた強くなれる同じような痛みを知った人と、もっとより深くつながれるだから、この先も生きていれば、いろいろなことが起きてくるだろうけれども、なんとか荒波に揉まれて時に流されながらも、乗り越えていけそうな予感をもらいました

――家族がテーマの軸になっているところもありますか

 当初は家族をテーマにとは思っていなかったのですが、私は家族のことをコンプレックスとして育ってきたばかりに、結果的にそうなっているかもしれません両親を亡くして初めて自分と向き合い、喪に服す作業をしたと同時に、自分の人生を振り返って、これからどうやって生きていきたいかを掘り下げる契機がこの連載だったんだなと両親が生きてくれていたら、今この時点で感じることは少し違ったはずです

 母はよく生前に「人は生きてきたように死ぬんだよ」と言っていてどういう意味だろうと思っていたのですが、母も父も嵐のように生きて、嵐のように去っていった、その去り方がすごく両親らしくてあまり周りに迷惑をかけすぎないようにと、去り際はさっと潔くという感じがしました

「ないもの」も愛でられるように

――也哉子さんは文章家としてご活躍ですが、時に役者としても表現されることがありますね

…ペットロス症候群新老人
2011.03.11~東日本津波原発事故大震災 
復興10年・20年・・30年 俺は逝く
2021コロナ禍は続く…
2022~2024・・ウクライナ戦争
2024 能登半島地震~未来を信じて!
2025 ・・・
…記憶と記録

【311/東日本大震災/東電/原発事故/放射能汚染/避難~復興】
311以降変わらないようで毎日変化するふるさと福島地元を記憶・記録する愛犬二匹は老衰死ペットロスは続くGGのライフワークのようにその時までの暇つぶしのように...
2021世はコロナウイルスの猛威が続く…2023各地で戦争が
20241/1 またも大震災 能登半島地震 祈る

記憶と記録

Leave A Reply